長野県北西部,大町市にある青木湖,中綱湖,木崎湖の総称。大町市あたりは,古くは伊勢神宮領仁科御厨があり,平安末期から戦国時代にかけて仁科氏が支配し,仁科地方と呼ばれる。いずれも湖の西側を走る糸魚川-静岡構造線に沿った断層湖である。南北8kmにわたり三つの湖が連なり,いずれも集水面積は狭いが,湧水が豊富なため水量は豊かである。青木湖の水は発電に利用されるので冬は水位が下がり,そのため魚類が減少している。また木崎湖の水は高瀬川水系の農具川となって流出し,灌漑に用いられている。湖に沿ってかつて〈塩の道〉と呼ばれた千国(ちくに)街道(糸魚川街道)が走り,沿道には石仏が多く残っている。またJR大糸線と国道148号線が通り,観光には便がよい。湖面に映る北アルプスの連峰は美しい。
執筆者:市川 健夫
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…高瀬川渓谷には東京電力の高瀬ダム(1977完成),七倉ダム(1978)があり,両ダムから揚水する新高瀬川発電所(合わせて96万kW,1982年からフル運転開始)が設けられ,その上流からアルプス裏銀座への登山路が通じている。また市の北部には青木湖,中綱湖,木崎湖の仁科三湖があり,観光地になっている。木崎湖畔にある木崎夏期大学は,1917年の設立で,日本で最も古い歴史をもつ。…
※「仁科三湖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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