日本大百科全書(ニッポニカ) 「南信濃」の意味・わかりやすい解説
南信濃
みなみしなの
長野県南東端、下伊那郡(しもいなぐん)にあった旧村名(南信濃村(むら))。現在は飯田(いいだ)市の南東部を占める。旧南信濃村は1955年(昭和30)和田、南和田、八重河内(やえごうち)の3村が合併して遠山村となり、1960年木沢(きざわ)村と合併して南信濃村となる。2005年(平成17)飯田市に編入。東側の赤石山脈と西側の伊那山地に挟まれた狭長な赤石構造谷に沿う山村で、畑地は急傾斜地にあり、農家1戸当りの耕地面積は約30アールにすぎない。林業のほか、茶、シイタケ、麦、ソバ、コンニャク栽培を行う。旧村域内を国道152号、418号が通じる。そのうち静岡県へ通じる国道152号(秋葉(あきは)街道)は、県境の青崩峠(あおくずれとうげ)で土砂崩壊が多く自動車通行不能で、幻の国道といわれ、1994年(平成6)その東に三遠南信(さんえんなんしん)自動車道(国道474号)の草木トンネル(くさきとんねる)部分が完成した。交通はJR飯田(いいだ)線平岡駅(天竜村)からのバス便に依存する。12月から1月初めにかけて行われる「遠山の霜月祭の芸能」は国指定重要無形民俗文化財。
[小林寛義]