長野県から静岡県にまたがる山地で,伊那盆地から見て赤石山脈の前山をなす。地形的には標高1500~2000mの山並みが連なる地塁である。地質的には片麻岩など崩壊しやすい岩石からなっているため,山崩れが多い。赤石山脈との間には,ほぼ南北に中央構造線が走り,日本列島を外帯と内帯に分かつ重要な地質構造線となっている。この構造線に沿って,深い谷が刻まれているが,これを赤石裂線(構造谷)と呼んでいる。この南北に走る谷に沿って,杖突峠,分杭(ぶんぐい)峠,地蔵峠,青崩峠を結ぶ道は,武田信玄が軍事的に利用した道でもあった。これに対して,伊那盆地から伊那山地を越えて,赤石構造谷に入る東西の道はけわしく,現在でも小川路(おがわじ)峠(1494m)を越える国道152号線(旧秋葉街道)は自動車が通行できない。伊那山地の西側,伊那盆地斜面は浸食がかなり進んでいるが,そこでは農地が開かれて,桑園や水田となっている。しかし,平たん地農村に比較して生産力が低いため,赤石構造谷の山村とともに過疎化が進んでいる。
執筆者:市川 健夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
長野県南部、天竜川の東側を南北に走る山地。最高峰は標高1890メートルの鬼面山(きめんざん)で、全体に1600メートル前後の山嶺(さんれい)が続く中山性山地。北は諏訪(すわ)湖岸の岡谷市南方から、南は天竜川の支流で静岡県に近い遠山(とおやま)川まで南北およそ100キロメートル、東西10キロメートルほどの狭長な山地である。この山地の東側は南北方向に天竜川の支流の三峰(みぶ)、小渋(こしぶ)、遠山の3川が流れて一直線の谷をなし、地質学上の西南日本中央構造線が走り、赤石山脈を隔てている。このため、伊那山地は赤石山脈の前山的存在をなし、東側の構造谷に向かって急斜面で落ち込み、この谷沿いの村々と、天竜川沿いの市町村との交通を分断している。西側の天竜川に向かっては緩傾斜をなす。
[小林寛義]
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