南極大陸で天文や気象の観測、地質、生物の調査などを行うため、日本政府が派遣している調査隊。正式名称は日本南極地域観測隊。英語の名称はJapanese Antarctic Research Expeditionで、略称JARE。南極観測隊ともよばれる。文部科学大臣を本部長とする南極地域観測統合推進本部が4~6か年ごとに策定する観測計画に基づいて派遣されている。隊員や物資の輸送には、海上自衛隊が保有する南極観測船を用いる。乗船する観測隊は、夏の3か月間を昭和基地に滞在して調査を行う夏隊と、そのまま残って越冬する冬隊の約20名をあわせ、総勢60名あまりで構成されている。夏隊は調査後、前年の越冬隊員らとともに日本へ帰還する。おもな観測事業は、一定の期間に集中して実施する重点観測と定常観測に分けられる。重点観測は、国立極地研究所を中心に、大学や研究機関などのメンバーによるプロジェクトチームが行う。定常観測は、情報通信研究機構(電離層)、国土地理院(測地)、気象庁(気象)、海上保安庁(海底地形、潮汐(ちょうせき))、文部科学省(海洋物理、化学)など、担当する各機関によって継続的に実施されている。
南極地域観測事業は、1957年(昭和32)から1958年にかけての国際地球観測年(IGY)に、国際共同事業として始まった。1956年派遣の南極予備隊が1957年1月に昭和基地を開設し、南極地域観測隊は1957年以降、ほぼ毎年派遣されている。当初は気象庁を中心とした地上気象観測だけが行われていたが、観測分野は徐々に広がった。日本の観測隊の貢献によって、これまでにオゾンホールの発見(1982)をはじめ、地磁気やオーロラ、宇宙線、ロケット観測などの多大な成果がもたらされた。観測開始当時の日本では、このような成果に敗戦後の疲弊した国民が一喜一憂した。また、このことが学術的な国際社会への日本の復帰を一気に進める契機にもなった。
[編集部]
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