最新 地学事典 の解説
なんきょくいんせきひょうがうんぱんしゅうせきモデル
南極隕石氷河運搬集積モデル
model for concentration mechanism of Antarctic meteorites
南極大陸の限られた地域にきわめて多数の隕石が発見される理由を説明するモデル。南極隕石の特徴は大陸内部の裸氷(青氷ともいう)帯に集中して産し,ほとんどの隕石は氷の表面にぽつんとのっている状態で発見され,雪の上や露岩や氷の中から発見される例はきわめてまれである。従来1ヵ所で多数の隕石が産する場合は隕石雨(単一種)と扱われてきたが,南極隕石の場合は,落下年代の異なる多種類の隕石が混在するため隕石雨とは考えにくい(ただし,南極隕石のあるものはかつて隕石雨として落下した可能性は否定できない)。また南極隕石の落下年代には数百万年と古いものもあり,かなり長期間の蓄積を見ている可能性がある。一方,隕石が多産する裸氷帯は,数万年と見積もられる非常に古い氷が露出する特異な場所である。ここでは氷床は山脈に近づくと下方から上方に向かって流動し,その先端から消耗(アブレーション)していることが確かめられている。例えばやまと山脈の場合,流動量と消耗量は年10cm程度でバランスが保たれている。このようなバランスが保たれている間,氷床に含まれていた異質物(地球の岩石や隕石)は次々に裸氷帯に運ばれ,氷は消耗するが異質物は氷の表面に残されることになる。氷床の上流(大陸内部)に落下した,落下年代が異なり種類も多様な隕石が,結果的に裸氷帯まで運ばれて蓄積する。1977年以降このモデルに基づいて裸氷帯での隕石探査が実施され,1万個以上の隕石が発見・回収された。しかし,裸氷帯に運ばれる隕石は南極大陸に数百万年かけて落下した隕石のごく一部であって,大部分は最終的に氷山とともに流出してしまったと考えられる。
執筆者:矢内 桂三

出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

