南極地域の青氷(あおごおり)(裸氷)上で発見回収された多種多数の隕石をいう。1969年12月第10次日本南極地域観測隊が昭和基地に近いやまと山脈南方の青氷上で9個の隕石を偶然発見したことに端を発し,以後組織的に探査,発見,回収され,隕石学,惑星科学の研究試料として配分,研究されている。やまと山脈で発見されたものはやまと隕石という。これ以前まで南極大陸の4ヵ所から6個の隕石が偶然発見されていたが,やまと隕石のように1ヵ所に多種,多数の隕石が発見されたものではない。日本隊により69年から83年までやまと山脈で5025個,ベルジカ山脈で5個発見されている。1976年より3年間日米合同調査によって,ビクトリア・ランドを中心に639個(一部ニュージーランド隊),79年以降82年までにアメリカ単独と一部西ドイツなどと合同で660個くらい発見,回収され,97年現在総計16000個を超える。この中には今まで他所で発見されたほとんどの種類の隕石を含むほか,新しいタイプの隕石,たとえば月起源や火星起源の隕石などを含み,アポロ計画以後の惑星科学の発展に貢献している。数は多いが,すべてが別々の落下ではなく,大気との衝突で多数の破片となりシャワー(隕石雨)として落下したものもあることがわかっている。地球に落下して数千年から数十万年たったものがあり,青氷上の限られた地域に多数集積していることから,青氷帯の形成機構と関連した隕石の集積機構があることが提唱されている。
執筆者:武田 弘
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