単斜ヒューム石
たんしゃひゅーむせき
clinohumite
普通、粒状で、まれに短柱状の結晶をなす。斜ヒューム石ともいう。接触変成を受けた苦灰(くかい)岩や石灰岩中に、金雲母(きんうんも)、苦土橄欖(かんらん)石などに伴ってよく産する。また、超塩基性岩中にもしばしば産する。いずれも石英とは共生しない。コンドロ石、ヒューム石(斜方晶系)、ノルベルグ石norbergite(Mg3SiO4F2)とは肉眼的に区別できない。英名は、美術品や鉱物の鑑定家で収集家であったイギリスのヒュームAbraham Hume(1749―1838)にちなんだヒューム石と同じグループであり、その単斜晶系のものという意味でクリノという接頭語がつけられた。
[松原 聰]
単斜ヒューム石(データノート)
たんしゃひゅーむせきでーたのーと
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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たんしゃヒュームせき
単斜ヒューム石
clinohumite
化学組成Mg9(SiO4)4F2の鉱物。斜ヒューム石,クリノヒューマイトとも。単斜晶系,空間群P21/c,格子定数a1.371nm, b0.4755, c1.029, β100.83°,単位格子中2分子含む。やや扁平な角柱状〜短柱状結晶,粒状。ガラス光沢。劈開なし。硬度6。比重3.2〜3.4。黄,橙,褐色,条痕白色〜淡黄色。二軸性正,光軸面はほぼ(100),方位Z = b,X∧c =9〜15°,屈折率α1.623〜1.702, β1.636〜1.706, γ1.651〜1.728,2V = 52〜90°。多色性,X黄,Y = Z淡黄。ヒューマイト族,ヒューマイト亜族に属する。通常,Feを含み,時にTiやAlも含む。また,Fの一部がOHに置換されている。キンバーライト・カーボナタイト・かんらん岩・蛇紋岩・再結晶石灰岩・スカルン中に産出。Tiに非常に富むもので上部マントル起原のものも報告。日本でも産地は多いとされているが,同亜族のコンドロ石・ヒューム石・ノルベルグ石・水酸単斜ヒューム石・水酸コンドロ石と外観は酷似し,肉眼での区別はできないため,これらと混同されている可能性がある。なお,日本の新鉱物である園石は水酸単斜ヒューム石のMn置換体にあたる。名称は,直方晶系のヒューム石の単斜型であることからつけられたが,ヒューム石は英国・ロンドン地質学協会の会長を努めたAbraham Humeにちなむ。
執筆者:藤野 清志・青木 義和・松原 聰
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
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