日本大百科全書(ニッポニカ) 「単斜灰簾石」の意味・わかりやすい解説
単斜灰簾石
たんしゃかいれんせき
clinozoisite
緑簾(りょくれん)石グループの鉱物で、灰簾石(ゾイサイトzoisite)と同質異像。斜灰簾石あるいはクリノゾイサイトともいう。柱状結晶、あるいはそれらが平行ないし放射状に集合して産する。おもに広域変成岩や接触変成岩中に産する。ほかに超塩基性岩、酸性火山岩を切る細脈中に産する。鉄を多く含むにしたがって緑簾石となっていく。英名のもとになった斜方晶系のゾイサイトは鉱物に興味をもっていたオーストリアの学者・作家であるエーデルシュタイン男爵ゾイス(ツォイス)Baron Sigismund Zois von Edelstein(1747―1819)に由来し、この鉱物はそれの単斜型であるため、接頭語として単斜を意味するclinoをつけられた。和名は外観による。なお、2個のカルシウムのうち1個をストロンチウムで置換したものは、新潟石とよばれる独立種で、2003年(平成15)に新潟県糸魚川(いといがわ)市青海(おうみ)地区で発見された。なお、英名はniigataiteからclinozoisite-(Sr)に改名されている。
[松原 聰]