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原子力の国際管理 げんしりょくのこくさいかんりinternational control of atomic energy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

原子力の国際管理
げんしりょくのこくさいかんり
international control of atomic energy

1946年1月 24日の国連総会決議によって国連原子力委員会が設けられ,この委員会を中心として審議された問題。まずアメリカの B.バルーク代表は同年6月に原子力国際管理案を提出,国連に国際原子力開発機関 IADAを設置し,原子力兵器の独占的研究,ウランの独占的所有,原子力活動の査察など超国家的な機能の付与を意図した。次いでソ連の A.グロムイコ代表は同月に原子力兵器禁止案を,47年6月には原子力管理のための国際管理委員会の設立,同委員会による原子力施設の査察などを内容とする原子力国際管理案を提出した。このように両国案は,原子力の国際管理の必要性,平和利用の促進などについては共通の考えを含んでいたが,その他の面ではアメリカ案は,国際管理について安全保障理事会の拒否権を認めないと主張,ソ連案は拒否権を堅持しようとした。またアメリカ案は,国際管理機関にウランの独占的所有や原子力工場の独占的経営などの強大な権限を与えようとしていたが,ソ連案は,国際管理機関が各国の原子力工場などを定期的に,また必要な場合臨時に査察するだけで十分であると主張した。原子力兵器の禁止時期については,アメリカは国際管理体制確立後の全面的禁止,ソ連は即時・無条件禁止を主張するなど,多くの対立点が目立った。国連総会は 48年 11月に原子力委員会の報告を採択し,形式的には主としてアメリカの主張が承認されたが,ソ連の反対のため実効はなく,原子力委員会も 50年1月に活動を停止した。原子力国際管理問題はその後,広義の軍縮問題のいくつかの課題のなかで交渉されてきたが,いまだ管理システムは実現していない。しかし 57年7月に国際原子力機関 IAEAが設立され,核兵器不拡散条約に基づき,核物質の軍事転用防止のための保障措置を適用するなど,わずかながら部分的措置が実現している。

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