改訂新版 世界大百科事典 「原子単位系」の意味・わかりやすい解説
原子単位系 (げんしたんいけい)
atomic system of units
単位系の一種で,原子の規模での物理現象を量的に表現するのに用いられる。基本量として質量,電荷および作用の三つを選び,それぞれの単位を,次に示す基礎物理定数に等しいものと定義する。
質量の単位--電子の静止質量me
電荷の単位--電子の電荷e
作用の単位--プランク定数÷2π=ħ
これらの定数の値(1980)を国際単位系の単位で表すと,
me=9.109534×10⁻31kg
e=1.6021892×10⁻19C
ħ=1.0545887×10⁻34J・s
となる。この単位系は,イギリスの物理学者D.R.ハートリーによって1927年に導入された。原子単位系は現今の国際単位系には属さない単位系であるが,ボーア半径などの要素的な量を簡単に表現できるという利点を備えている。
執筆者:高田 誠二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報