古来風躰抄(読み)こらいふうていしょう

日本大百科全書(ニッポニカ)「古来風躰抄」の解説

古来風躰抄
こらいふうていしょう

藤原俊成(しゅんぜい)の歌論書。俊成84歳の1197年(建久8)に式子(しょくし)内親王の依頼で初撰(しょせん)本、1201年(建仁1)に再撰本が書かれた。上巻は和歌本質論、和歌史論などの論述と『万葉集』抄出歌191首からなり、下巻は『古今集』から『千載集(せんざいしゅう)』に至る勅撰集抄出歌395首と若干の歌評とからなる。それまでの歌学書の知識偏重を批判して文芸性を重視し、和歌史の具体的な作品例のなかから、美的本性を把握させようとしたところに特色がある。明確な和歌様式史観と、韻律性や余情効果としての映像性に美的本質をとらえる和歌観を初めて示した点に、歌論史上の功績がある。冷泉(れいぜい)家に俊成自筆本(初撰本)の現存することが確認され、国宝に指定された。

[松野陽一]

『有吉保他校注・訳『日本古典文学全集50 歌論集』(1975・小学館)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「古来風躰抄」の解説

古来風躰抄
こらいふうていしょう

鎌倉時代前期の歌論書。藤原俊成著。2巻。式子内親王の要請献上。建久8 (1197) 年初撰本が,建仁1 (1201) 年再撰本が成立。和歌観,和歌の歴史を述べ,次いで『万葉集』以下『千載和歌集』にいたる8撰集の秀歌を例示しつつ,ところどころ評言を加えている。藤原清輔を中心とする六条家の歌学への反発もうかがわれる。和歌は韻律,声調が重要であるとして,その和歌観を披瀝した個所,風体変遷を通して和歌史をたどり,史的区分を試みたこと,長歌短歌に関する論,かなり多くの『万葉集』の歌を秀歌例としてあげたこと,などが注目される。

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