右翼運動(読み)うよくうんどう

山川 日本史小辞典 改訂新版 「右翼運動」の解説

右翼運動
うよくうんどう

天皇を至上価値とする明治期以降の政治運動・社会運動。国粋主義・日本主義・国家主義・農本主義・国家社会主義などを標榜,天皇中心の国家観を基調に日本の文化・伝統の擁護と国家的独立維持への強い信念をもつ。また共産主義を激しく排斥する点も特徴である。明治期には欧化主義への反発や対外硬運動,大アジア主義の主張といったかたちで運動が活性化した。大正期になると従来の玄洋社や黒竜会の系統とは別に,大川周明猶存社上杉慎吉(しんきち)・高畠素之(もとゆき)の経綸学盟など国家革新をめざす団体が誕生し,昭和期にはその数も飛躍的に増大,運動が激化する過程で5・15事件や2・26事件なども発生した。第2次大戦後は天皇制護持や憲法改正反共などを主要目標としている。

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旺文社日本史事典 三訂版 「右翼運動」の解説

右翼運動
うよくうんどう

天皇制を至上価値として国粋主義・対外侵略主義の傾向をもつ政治・社会的運動
明治期の玄洋社からは黒竜会・浪人会その他が生まれ大アジア主義を唱えた。大正期,民本主義・社会主義が勃興すると反社会主義の色彩を強めた。昭和期に入ると国家社会主義的・ファシズム的団体が生まれ,軍部と結んで戦時体制強化に大きな役割を果たした。第二次世界大戦後,一時衰退したが,1951年サンフランシスコ平和条約以後復活した。

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世界大百科事典(旧版)内の右翼運動の言及

【右翼】より

…この言葉は,その性格上,客観的記述のためより相手方への評価をこめた政治用語として使われることが多い。【坂本 多加雄】
[日本の右翼]
 日本の右翼運動は,明治政府の欧化政策に反対するため,士族反乱や自由民権運動と結んで反政府運動を展開していた平岡浩太郎や頭山満らが,1879年に向陽社を結成し,81年にそれを玄洋社と改称したときに開始された。やがて玄洋社は自由民権運動からはなれ,条約改正即時断行,日清開戦,大陸への進出などの対外強硬策を主張する国家主義団体に成長していった。…

※「右翼運動」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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