司政官(読み)シセイカン

デジタル大辞泉 「司政官」の意味・読み・例文・類語

しせい‐かん〔‐クワン〕【司政官】

太平洋戦争中、旧日本軍の南方占領地域で地方行政を担当した文官

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精選版 日本国語大辞典 「司政官」の意味・読み・例文・類語

しせい‐かん‥クヮン【司政官】

  1. 〘 名詞 〙 太平洋戦争中、旧日本軍が占領した南方地域で軍政下の地方行政を担当した文官。軍人官吏民間人から起用
    1. [初出の実例]「若い司政官が、酷く酔って」(出典:夢声戦争日記〈徳川夢声〉昭和一八年(1943)一月一日)

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改訂新版 世界大百科事典 「司政官」の意味・わかりやすい解説

司政官 (しせいかん)

太平洋戦争中東南アジア占領地域における日本の軍政を補佐した陸海軍の臨時職員。1941年12月27日公布の特設海軍部隊臨時職員設置制,42年3月7日公布の陸軍特設部隊等臨時職員設置制,陸軍司政官及び海軍司政官特別任用令の3法令にもとづいて設置された。司政官は軍人・官吏および民間人から抜擢任命され,各地軍政の長官である軍司令官や艦隊司令長官以下で構成された軍政部(1942年7月以後は軍政監部)の顧問として軍政の実施に参画し,軍政部の補佐役を務めた。初め陸軍は司政長官勅任官)55名,司政官(奏任官)350名,海軍は司政長官1名,司政官9名であったが,42年9月9日から海軍の司政長官15名,司政官144名となり,43年10月現在で陸軍の司政長官は147名,海軍の司政長官は18名であった。なお,司政官以下の軍政要員としては,理事官,技師書記,通訳,技手,警査,警部巡査,教員および準教員が置かれていた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「司政官」の意味・わかりやすい解説

司政官
しせいかん

第2次世界大戦中,旧日本陸海軍が占領地の行政を行わせるため,特に設けた軍の文官。占領地は国家として独立するまで原則として作戦軍の軍政下におかれ,その間の一般行政実行の責任者は軍政監としての作戦軍参謀長であったが,現地の行政担当者として司政長官 (勅任) ,司政官 (奏任) などがおかれた。

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