吉井友実(読み)よしい・ともざね

朝日日本歴史人物事典 「吉井友実」の解説

吉井友実

没年:明治24.4.22(1891)
生年:文政11.2.26(1828.4.10)
幕末薩摩藩士,明治政府高官。通称は幸輔。鹿児島城下に藩士吉井友昌の長男として生まれる。早くから西郷隆盛,大久保利通と親しく交わる。安政3(1856)年大坂薩摩藩邸の留守居となり,諸藩の有志と交流。同6年9月,鹿児島で同志有馬新七,大久保利通らと脱藩して京都で尊攘運動に挺身する計画を立てたが,藩主に慰留され断念。精忠組の幹部となり,文久1(1861)年には大目付に抜擢された。翌年,藩兵1000人を率いた島津久光随従して上洛,勅使大原重徳の護衛隊の員に列して江戸下向。元治1(1864)年2月,沖永良部島に流されていた西郷が赦免されるに当たり,召還使として同島に赴いた。次いで上京,御小納戸頭として京都の守衛に任じ,同年7月,禁門の変では,西郷,伊地知正治らと藩軍を督励して長州軍を撃退した。慶応3(1867)年,土佐藩勤王派との連携工作に当たり,5月,乾(板垣)退助,中岡慎太郎らを小松帯刀,西郷らと京都薩摩藩邸に迎え薩土討幕密約を締結。鳥羽・伏見の戦に,薩摩藩軍を指揮。維新政府の徴士,参与,軍防事務局判事に任じ,戊辰戦争では越後方面に転戦して功績あり,永世禄1000石を下賜された。以後,弾正大忠,同少弼,民部少輔,同大丞,明治4(1871)年宮内大丞,同少輔を歴任。8~10年元老院議官,10年8月1等侍補,11~14年元老院議官兼1等侍補。12年兼工部少輔,13年6月工部大輔。15年には日本鉄道会社の創立に際して社長も務めた。17年7月宮内大輔,このとき,伯爵を授けられた。19年から24年3月まで,宮内次官,21~24年枢密顧問官。昭和時代の歌人吉井勇は孫である。

(福地惇)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

新訂 政治家人名事典 明治~昭和 「吉井友実」の解説

吉井 友実
ヨシイ トモザネ


肩書
枢密顧問官

別名
通称=仁左衛門 仲助 幸輔

生年月日
文政11年2月(1828年)

出生地
薩摩国(鹿児島県)

経歴
安政3年藩の財務官として大阪に出て諸国の有司志士と交流。6年誠忠組に参加して国事に奔走、文久2年藩政改革により、徒目付役に。3年島津久光に従って上洛、勅使大原重徳の東下に際し、山科兵部と名を改め、その従士として江戸に赴いた。明治元年徴士、参与、軍務局判事を務め、のち司法、民部、工部、宮内各省の要職を歴任。8年元老院議官となる。14年日本国有鉄道会社のを創立と共に社長に就任。17年再び宮内次官となって伯爵を授けられた。21年4月枢密顧問官を兼任。24年枢密顧問官専任となる。

没年月日
明治24年4月22日

出典 日外アソシエーツ「新訂 政治家人名事典 明治~昭和」(2003年刊)新訂 政治家人名事典 明治~昭和について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「吉井友実」の意味・わかりやすい解説

吉井友実 (よしいともざね)
生没年:1828-91(文政11-明治24)

維新の志士,明治の政治家。通称仁左衛門,のち幸輔。薩摩藩士の子として鹿児島に生まれた。西郷隆盛,大久保利通と同世代だが,政治的には彼らに随従して維新の動乱をくぐりぬけ,明治政府でも次官クラスの仕事が長い。西郷の賊名をそそぐことに熱心で同憂の勝海舟と親交を結ぶ。憲法発布前後の時期の宮内次官として,薩長間や旧幕臣との調整に努めた。枢密顧問官。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「吉井友実」の解説

吉井友実 よしい-ともざね

1828-1891 幕末-明治時代の武士,官僚。
文政11年2月26日生まれ。薩摩(さつま)鹿児島藩士。西郷隆盛,大久保利通と親交があり,安政3年大坂藩邸の留守居となり諸国の尊攘(そんじょう)運動家とまじわる。維新後は司法,民部,宮内など各省をへて,明治15年日本鉄道社長。元老院議官,枢密顧問官。明治24年4月22日死去。64歳。通称は仁左衛門,幸輔。変名は山科兵部。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「吉井友実」の解説

吉井 友実 (よしい ともざね)

生年月日:1828年2月26日
江戸時代;明治時代の鹿児島藩士;政治家。枢密顧問官;日本鉄道社長
1891年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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