日本大百科全書(ニッポニカ) 「吉富」の意味・わかりやすい解説
吉富(町)
よしとみ
福岡県東端、築上郡(ちくじょうぐん)にある町。1942年(昭和17)町制施行。西部を佐井(さい)川、東境を山国(やまくに)川が北流して周防灘(すおうなだ)に注ぐ平坦(へいたん)地が広がり、福岡県道・大分県道113号(旧、国道10号)が東西に通じ、JR日豊(にっぽう)本線吉富駅がある。主産業は農業で、米麦のほか、イチゴなどを産し、カキ・ノリ養殖、採貝、小型底引網などの漁業も行われる。海岸部の小祝(こいわい)に田辺三菱製薬工場の吉富工場が立地している。山国川対岸の大分県中津市との結び付きが強く、中津の商圏に含まれる。見どころとして国の重要文化財の木造薬師如来坐像(にょらいざぞう)がある鈴熊寺(すずくまじ)や、同じく重文の木造女神騎牛像や傀儡子(くぐつ)(47体、国の重要有形民俗文化財)の舞と相撲(すもう)(国の重要無形民俗文化財)の伝わる八幡古表神社(はちまんこひょうじんじゃ)などの古社寺がある。面積5.72平方キロメートル、人口6536(2020)。
[石黒正紀]
『『吉富町史』(1983・吉富町)』