デジタル大辞泉
「吝か」の意味・読み・例文・類語
やぶさ‐か【×吝か】
[形動][文][ナリ]
1 (「…にやぶさかでない」の形で)…する努力を惜しまない。喜んで…する。「協力するに吝かではない」
2 思い切りの悪いさま。
「民衆も天才を認めることに―であるとは信じ難い」〈芥川・侏儒の言葉〉
3 物惜しみするさま。けちなさま。
「たとひ驕且にして―ならば、其の余は観るに足らざらくのみ」〈文明本論語抄・四〉
[補説]1について、文化庁が発表した平成25年度「国語に関する世論調査」では、「協力を求められればやぶさかでない」を、本来の意味とされる「喜んでする」で使う人が33.8パーセント、本来の意味ではない「仕方なくする」で使う人が43.7パーセントと、逆転した結果が出ている。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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やぶさ‐か【吝か】
- 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「か」は接尾語。古くは「やふさか」か )
- ① 物惜しみするさま。けちなさま。しみったれ。
- [初出の実例]「たとひ驕り且吝(ヤブサカ)ならば、其の余は観るに足らざらくのみ」(出典:論語建武四年点(1337)八)
- ② 躊躇(ちゅうちょ)するさま。未練があるさま。〔寸鉄録(1606)〕
- ③ ( 「…にやぶさかでない」「…にやぶさかならず」などの形で ) …する努力を惜しまない。喜んで…する。
- [初出の実例]「会社の幸福繁栄をはかる為めに日も足らざりしは、諸君の認むるに吝(ヤブサカ)ならざるところと敢て信じます」(出典:大阪の宿(1925‐26)〈水上滝太郎〉一一)
吝かの語誌
( 1 )古く、「物惜しみする」「物惜しい」の意味の動詞、形容詞形として、「やふさがる」「やふさし」があった。鎌倉中期以後、この両語があまり使われなくなって、かわって「やぶさか(なり)」という形容動詞形が発生した。
( 2 )「文明本節用集」には「吝 ヤツサカナル」「吝 ヤブサカナラバ」の二形が併記されているが、これは、「やふさし」「やふさがる」の語幹「やふさ」に接尾語「か」が付いて「やふさか」が成立し、それが一方で「ふ」が促音化して「やっさか」、一方で「ふ」が有声音化して「やぶさか」となったもの。このうち、「やっさか」は消滅し、現在は「やぶさか」のみが残る。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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