精選版 日本国語大辞典 「吾木香」の意味・読み・例文・類語
われ‐もこう‥モカウ【吾木香・我毛香・吾亦紅コウ】
- 〘 名詞 〙
- ① バラ科の多年草。各地の山野に群生する。高さ〇・六~二メートル。葉は奇数羽状複葉で五~一三枚の小葉からなる。各小葉は長楕円形または長卵形で縁にあらい鋸歯(きょし)があり、長さ三~五センチメートル。夏から秋にかけて、卵形で長さ二~三センチメートルの濃紫色の花穂をつける。花弁はなく、萼裂片が花弁状。根は漢方で地楡(ちゆ)と呼び、止血・収斂薬に用いる。若葉は食べられる。漢名、地楡。《 季語・秋 》
- [初出の実例]「衰へ行藤袴、物げなきわれもかうなどは」(出典:源氏物語(1001‐14頃)匂宮)
- ② 織物などの文様の名。①の花などをかたどったもの。
- [初出の実例]「この比の枯野の色なる御衣どもの濃き薄きなるに、同じ色のわれもかうの織物の重なりたるなども」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)二)
- ③ 植物「もっこう(木香)」の異名。〔多識編(1631)〕
- ④ 植物「おがるかや(雄刈萱)」の異名。
- [初出の実例]「地楡 われもかう也。のこぎり草を地楡とするはあやまり也。別にわれもかうと云物あり。芒類なり。花如レ穂似二荻花一」(出典:大和本草(1709)六)
- ⑤ 植物「おけら(朮)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
- ⑥ 植物「じゃこうそう(麝香草)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕