周氷河地形(読み)しゅうひょうがちけい(英語表記)periglacial landforms

日本大百科全書(ニッポニカ)「周氷河地形」の解説

周氷河地形
しゅうひょうがちけい
periglacial landforms

地中温度がつねに0℃以下になっている永久凍土の分布地域にみられる地形。地中温度が頻繁に0℃を上下するために岩石などの凍結破砕が活発に生じる地域。北極を中心とする高緯度地域と、森林限界を越えた高帯でみられ、植物の生育が妨げられるために、地表面は裸地となっているか、あるいはツンドラ植生とよばれる低木や草本類だけに覆われる。凍結、融解の繰り返しによって岩石は破砕され、壊された岩片は雪融(ど)け水や、水分で過飽和になった表土のソリフラクションsolifluctionとよばれる緩慢な流動によって下方へ運搬される。このため全体としてなだらかな斜面が発達し、凍結による破砕に対して抵抗性の強い岩石だけが、周りから突出する。地表面では、凍結、融解の繰り返しによる土壌物質の移動や、凍結による割れ目の形成によって種々の構造土が発達する。また、地下水の凍結によって、地中で局部的に大きな氷体が形成されると、氷体が地表面を盛り上げピンゴpingoとよばれる円頂丘やパルサpalsasとよばれる泥炭丘が形成される。ピンゴはアラスカでとくに多くみられ、高さ100メートル以上にも達することがある。ピンゴを支えていた氷体が融けると、ピンゴは陥没してアラスalasとよばれる凹地が形成される。気候が現在より寒冷であった氷期には、中部ヨーロッパや北海道などでも、周氷河地形が広くつくられたことが知られている。

[小野有五]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「周氷河地形」の解説

周氷河地形
しゅうひょうがちけい
periglacial landform

気温が0℃を上下する日数の多い寒冷な氷河周辺の地域で,水分の凍結,融解が激しく行われたために形成される特有な地形。地下数mには永久凍土があり,表層の水分が凍結,融解を繰返すことによって岩石の破壊,流動が起り,構造土,流土階段などの微地形岩塊流,岩海,氷楔,氷袋土などが形成される。このため山地はうずまり尾根は丸くなってなだらかな従順山形となる。北海道や中部地方などの高山地帯にもこのような地形が認められるが,過去の氷期の化石周氷河地形であると考えられる。

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百科事典マイペディア「周氷河地形」の解説

周氷河地形【しゅうひょうがちけい】

氷河周辺地域にみられる特徴的な地形の総称。植生がまばらで,岩石表面では割れ目に浸入した水の氷結融解作用の繰返しで,大量の岩屑(がんせつ)が生産され,岩塊流を作る。土壌層内では同様に凍結融解作用により物質の対流が起こり,構造土や階段状の地形(流土階段)などが形成される。そのほか永久凍土二重山稜,非対称山稜なども含まれる。→ソリフラクション

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デジタル大辞泉「周氷河地形」の解説

しゅうひょうが‐ちけい〔シウヒヨウガ‐〕【周氷河地形】

地中の水分が周期的に凍結と融解を繰り返すことによって生じる地形。氷期または高緯度地域などの寒冷地でみられ、岩石の破砕や土壌物質の移動などにより、なだらかな起伏を形成する。日本では宗谷丘陵にみられる。

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世界大百科事典 第2版「周氷河地形」の解説

しゅうひょうがちけい【周氷河地形 periglacial landforms】

寒冷な気候の支配する周氷河地域では,地表に凍結と融解の作用が強く働き,残雪や風の作用も加わって,他の気候地域とは異なった特有の地形が発達する。そのような地形を総称して周氷河地形という。〈周氷河〉の語は最初,第四紀洪積世(更新世)に拡大した大陸氷床の周辺地域の意味に用いられたが,後にそれとは関係なく,寒冷地域のうち氷河におおわれていないところをさすようになった。周氷河地域と温暖地域との境界については,最暖月の月平均気温10℃の等温線,森林限界,構造土分布限界など,気候要素景観に基づいた考えが提唱されている。

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