無線通信において、中継局に割り当てられた周波数帯を必要なチャネル数に分割しておき、利用局の要求に応じてこれを割り当てる多元接続の方式。略してFDMAという。FDMAでは割り当てる位置に確実に周波数を発生させて送信し、対になる周波数を確実に受信しなければならない。このため衛星局にも地球局にも正確な周波数シンセサイザー(1個の正確な水晶発振器をもとにして、同じ正確さをもつたくさんの周波数を出力させる装置)が装備されている。接続の方法は、衛星側がトランスポンダー(中継用の送受信機)のあきチャネルを示す情報を特別のチャネル(シグナリング)で常時送信しており、地球局側は通信が必要なときに、あきチャネルのなかから自動的、かつ無作為に1チャネルを選択することにより即時に接続される。この割当て方式をデマンドアサイメント(要求割当て多元接続demand-assigned multiple access=DAMA)という。FDMAは初期のアナログ方式の衛星通信に使用され、また、初期の携帯電話や自動車電話にも使用された。信号の多重化の方法は従来の多重通信の方法と似ている。インテルサットⅣ号系のトランスポンダーを例にすれば1バンドに使用される周波数帯3700~4200メガヘルツの全周波数帯を36メガヘルツ幅の12バンドに分割し、1バンドのなかを3.1キロヘルツの信号帯域幅とガードバンド(混信防止用の周波数間隔)を1単位として24チャネル(基礎群)、60チャネル(群)、252チャネル(超群)のように束ね、総計3024チャネルの多元接続が可能となる。接続の方法は、一定数の回線を各地球局に共通にプールしておき、呼(こ)(呼出し)が発生するたびに、共通プールのなかの1対の周波数をそれに割り当て、通信が完了すると割当てを解消して回線をプールに戻すのである。この方法は呼が発生しているときだけ回線が使われるので、少ないチャネルを有効に利用できる。テレビ放送の中継のように広帯域の信号を中継する場合にはチャネルを一つにまとめることもできる。これはアナログ型SCPC(single-channel-per-carrier)方式とよばれ、初期の衛星中継に活躍した。FDMA方式は周波数の利用効率はあまりよくないが、利用局と中継局の周波数シンセサイザーが安定であれば信号の同期は不要で、技術的にはシステムの構築が容易である。初期の衛星通信の多元接続に使用され、情報はアナログの周波数変調(FM)信号により伝送された。フェージング(電波の受信状態が時間とともに急速に変化する現象)に対する耐性は弱くデータ伝送には不向きであった。衛星通信や携帯電話においては1989年(平成1)ごろに使用を終えた。
[石島 巖]
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