周防国衙跡(読み)すおうこくがあと

国指定史跡ガイド 「周防国衙跡」の解説

すおうこくがあと【周防国衙跡】


山口県防府市国衙町にある国衙跡。防府市の東部、多々良山の南の段丘上に立地する。現在の防府市は、奈良時代には周防国の中心地であり、国府もこの地に置かれていた。方8町(約870m)と推測される国府域の内側に、方2町(約218m)の国衙域があり、1937年(昭和12)に全国の国衙跡の中では最も早く国指定史跡になった。国衙の中心的建物があったと推測される国庁域、国府の港が設けられていたと考えられる船所(ふなどころ)・浜ノ宮地区、国府域の四隅、国府域の西限と推定される大樋(おおひ)土手が指定地域となっている。国府の建物群は奈良時代に最も整備されたとされているが、平安時代以降、律令体制の変質衰退にともない全国の国府は移転縮小したり、消滅したりしたものが多い。周防国府は鎌倉時代以降、東大寺管轄となり、その機能や形態を変えながら近世まで存在していた。1961年(昭和36)から継続的に行われている発掘調査で、従来考えられていたよりも国府の建物が国府域の東へ大きく広がっていることが判明するなど、新たな発見が注目されている。現在、国衙があったとされる場所が公園として整備されている。JR山陽本線防府駅から防長バス「西国衙」下車徒歩約5分。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「周防国衙跡」の意味・わかりやすい解説

周防国衙跡
すおうこくがあと

山口県防府市東佐波令にある国衙跡。周防国府は最近まで条里区画が道路,畦畔などによく踏襲され,国衙をめぐる土塁も一部遺存しており,この種の遺跡の代表例とされてきた。 1961~64年に発掘調査が行われたが,国衙は方8町の国府の中央,北寄りの方2町の地域を占め,周囲には築地をめぐらし,四門を開いていた。国衙内の建物遺構はほとんど削平されてはいたが,東西に分れ,東には厨屋,細工所,雑舎など,西には政庁,またそれに関係の深い建物の存在が推定されている。なお,古代から中世にわたる多量の須恵器土師器 (はじき) ,瓦器,陶磁器類などが発見されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「周防国衙跡」の意味・わかりやすい解説

周防国衙跡
すおうこくがあと

山口県防府(ほうふ)市の中心部を占める8町四方(1町=約109メートル)の古代地方政庁跡。北は多々良山麓(たたらさんろく)、南は山陽本線、東は西溝辺(にしみぞのべ)川、西は佐波(さば)神社から南に延びる「大樋(おおひ)土手」で限られる。内部は道路、畦畔(けいはん)、小字(こあざ)境などによって方1町域を単位とする碁盤目状の土地区画がよく残っている。南東隅には「船所(ふなどこ)」、中心部には政庁があった「国衙」、南には「細工所」「大領田」「市田」などの関係字名がある。国史跡。

[小田富士雄]


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