唐桟(読み)とうざん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

唐桟
とうざん

桟留 (さんとめじま) ,桟留ともいう。木綿縞織物一種桟は唐桟留で,インドのサントメからもたらされたのでこの名がある。組織が緻密で光沢があり,地合いのなめらかな織物。江戸時代初期からオランダ船によって輸入され,冬着の生地として流行した。末期には川越付近でも生産され,輸入品の唐桟に対し,これを川唐と呼んだ。

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デジタル大辞泉の解説

とう‐ざん〔タウ‐〕【唐桟】

紺地に浅葱(あさぎ)・赤などの縦の細縞を織り出した綿織物。江戸時代、通人が羽織・着物などに愛用。もとインドのサントメから渡来したもので、のち京都で織り出したものを和桟留、舶来物を唐桟留または唐桟といったが、現在はサントメ縞総称

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百科事典マイペディアの解説

唐桟【とうさん】

唐桟留の略称桟留縞(さんとめじま)ともいう。室町末期の南蛮渡来の綿織物の一種で,上質の綿糸を用い,赤や紺を主体とした細かい縞が特徴。名称はインドのコロマンデル地方のセント・トマスがなまったものという。江戸後期,日本でつくられ始めた桟留縞に対し,舶来のものを唐桟留と称するようになり,やがてこれをまねたものが埼玉県川越で織られ,川唐(かわとう)と称した。現在は千葉県が主産地。趣味的な着物,袋物などにする。
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世界大百科事典 第2版の解説

とうざん【唐桟】

唐桟留の略称で,桟留(さんとめ)縞ともいい,聖多黙(さんとめ)縞,三止女(さんとめ)縞とも記された。南蛮船によって17世紀ころから舶載された織物の一種。南インド東岸の港町セント・トマスSt.Thomasよりもたらされたと伝え,この地名がなまって〈サントメ〉となったといわれる。唐桟の唐は唐物つまり舶来品をさし,江戸後期に日本で模倣されはじめた和物の桟留縞に対し,特に舶来のものを唐桟留と称するようになった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

唐桟
とうざん

桟留縞(さんとめじま)のうち、オランダ人によって輸入されたものにつけられた名称で、唐桟留(どめ)ともいう。また、一般に桟留縞のうちで良質の桟留に対してつけられることがある。紺地に蘇芳(すおう)染めの赤糸か、浅黄(あさぎ)糸の入った縦縞の綿織物で、中世末以来、南方諸国から輸入され、日本の染織に大きな影響を与えたが、国産化されても輸入品との間には品質に大きな差異があり、唐桟が珍重された。埼玉県川越(かわごえ)地方では、1861年(文久1)に中島久平が横浜の米館から洋糸を購入し、中村徳兵治、山田紋右衛門と計って唐桟に模して木綿縞を織り、これが川越唐桟(川唐(かわとう))といって一般に知られたことがある。現存の房州唐桟は、斎藤豊吉によって伝統が受け継がれ、千葉県無形文化財に指定されているが、これは1868年(明治1)昭憲(しょうけん)皇太后の殖産所で伝習した技術を受け継いでいるものである。

[角山幸洋]


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精選版 日本国語大辞典の解説

とう‐ざん タウ‥【唐桟】

〘名〙 綿織物の一種。細番の諸撚(もろより)綿糸で平織にしたもの。紺地に浅葱(あさぎ)、赤、茶などの色合をたてじまに配し、羽織や着物地に用いる通人向きの高価なもの。元来、南インドのセント‐トマス(サントメ)から南蛮貿易によって渡来したもので、のち京都で織りだした和ざんとめに対し、舶来ものを唐桟留また唐桟といったが、現在はサントメ縞を総称していう。後世アメリカ人によって輸入されたので、亜米唐(あめとう)ともいった。唐桟縞。唐縞。
※雑俳・錦江評万句合‐明和三年(1766)「唐ざんをほめるは遣り手実儀也」
※門(1910)〈夏目漱石〉七「唐桟(タウザン)の風呂敷を出して」

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世界大百科事典内の唐桟の言及

【着物】より

…宝永年間(1704‐11)豪商淀屋辰五郎が財産を没収された罪科の第1条は白無垢の肌着を用いたことであったが,のちには町人も葬式には白無垢を着るようになった。また武士は光沢のあるもの,町人は光沢のないものを着るなど,江戸初期にはそれによって材料の優劣を示したものであったが,江戸中期以後町人の着た木綿の唐桟(とうざん)は,武士の着た絹の上田縞などの5倍以上も高価なものであった。こうした着物の身分差の崩壊は,武士と町人の力関係の変化を示し,身分制の崩壊と正比例している。…

※「唐桟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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