唐輪(読み)カラワ

デジタル大辞泉 「唐輪」の意味・読み・例文・類語

から‐わ【唐輪】

唐子髷からこまげ」に同じ。
室町後期から近世にかけての婦人の髪の結い方の一。もとどりの上にいくつかの輪を作り、その根元余りの髪で巻いたもの。

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精選版 日本国語大辞典 「唐輪」の意味・読み・例文・類語

から‐わ【唐輪】

〘名〙
① 髪の結い方の一つ。髻(もとどり)から上を二つに分けて、頂で二つの輪に作るもの。鎌倉時代武家若党や、元服前の近侍童児髪形唐輪髷(からわまげ・からわわげ)
太平記(14C後)二「年十五六許なる小児(こちご)の髪唐輪(カラワ)に上たるが」
② 女性の髪形の一つ。頭上で髪の輪を作り、その根を余りの髪で巻きつけるもの。輪は二つから四つに作るのが普通。唐輪髷。
※玉塵抄(1563)四二「その婦は出て草をとるほどに髪をからわにまげて」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「唐輪」の意味・わかりやすい解説

唐輪
からわ

日本髪の一種。男女ともに結んだ。男性の唐輪は、鎌倉時代に武家の若者寺院稚児(ちご)などが結った髪形で、その形は後世における稚児髷(まげ)に類似している。その結び方は、髪のもとを取りそろえて百会(ひゃくえ)(脳天)にあげ、そこで一結びしてから二分し、額の上に丸く輪とした。一方、女性の唐輪は、下げ髪が仕事の際に不便なので、根で一結びしてから輪につくり、その余りを根に巻き付けたもので、安土(あづち)桃山時代の天正(てんしょう)年間(1573~92)から行われた。

[遠藤 武]


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世界大百科事典(旧版)内の唐輪の言及

【髪形】より

…労働に適した軽快な服装を必要とした一般庶民の場合は,垂髪の1,2ヵ所を元結(もとゆい)で結んで背後にまとめ,動作の便をはかった。 平安時代以降中世の男性の髪形では,奈良時代より続いた冠下の髻のほかに,烏帽子(えぼし)下の髻,束髪,唐輪(からわ)などが現れた。冠下の髻は貴族階級や医者,学者などが結ったものであるが,中世では一般庶民にいたるまで男子は烏帽子を常用するようになって,元結の部分を少なく巻いて髪先を多く出す烏帽子下の髻が結われた。…

※「唐輪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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