インドの仏教学者、世親(せしん)(バスバンドゥ、400―480ころ)が30の詩頌によって唯識思想の体系を説いた名著。安慧(あんね)(スティラマティ、510―570ころ)の注釈がサンスクリット本で現存。下意識的な根源的認識である阿頼耶識(あらやしき)と、それを自我と誤想する末那識(まなしき)と、目、耳、鼻、舌、身、意の六つの現象する認識、という三層の認識のみの転変によって、外界の対象が実在しないにもかかわらず、自我と世界と多くの心理現象が仮現(けげん)する様相を説く。小著でありながら唯識思想の体系を完成している。
[梶山雄一]
『荒牧典俊訳『世親論集』(『大乗仏典15』所収・1976・中央公論社)』
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