喧嘩祭(読み)ケンカマツリ

デジタル大辞泉 「喧嘩祭」の意味・読み・例文・類語

けんか‐まつり〔ケンクワ‐〕【××嘩祭(り)】

氏子参詣人争い合うことを特色とする祭り。おふだを取り合うもの、押し合いをしてその年の豊凶を占うもの、悪口を言い合うものなどがある。岐阜県関市の鞍知白山神社の祭礼大分県宇佐八幡宮の夏越祭などが有名。

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関連語 名詞

精選版 日本国語大辞典 「喧嘩祭」の意味・読み・例文・類語

けんか‐まつりケンクヮ‥【喧嘩祭】

  1. 〘 名詞 〙 氏子や参詣人が押し合い、取り合い、綱引きや悪口の言い合いなど、争い合うことを特色とする祭。押合い祭や悪口(あっこう)祭など。また転じて、いつも喧嘩がおこるので有名な祭の俗称。岐阜県関市白山神社の祭礼、大分県宇佐八幡宮の夏越祭をはじめ、全国にみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「喧嘩祭」の意味・わかりやすい解説

喧嘩祭
けんかまつり

悪態(あくたい)祭、押合い祭とも同じ心意の祭りで、祭りに喧嘩やいさかい、悪口(あっこう)を伴い、勝敗により神の意志を問う。兵庫県姫路市白浜町松原八幡(はちまん)神社の10月14、15日の例祭は「灘(なだ)のけんか祭り」として名高い。互いに神輿(みこし)を打ち合わせ勝負を争うことからこの名があるが、神輿の突き合わせは激しいほど神意にかなうという。こうした形で神威がいや増しに高められるとも考えられる。岐阜県関市倉知の鞍知(くらち)・白山神社の4月第3日曜日に行われる倉知まつりもかつてはけんか祭といわれ、2基の神輿が争い、勝ったほうが田植のとき用水を早く引けたという。大分県宇佐郡宇佐町の宇佐神宮の夏越(なごし)祭は、喧嘩祭ともオンバライともいわれ、神輿の先着争いをする。勝った村はその年五穀豊穣(ほうじょう)といい、敗れた村は凶作であるとする。11月から正月にかけて行われる愛知県奥三河の花祭は一名悪口(あっこう)祭といわれ、悪口の限りを尽くして言い負かした者に福が招来するという。

[萩原秀三郎]


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百科事典マイペディア 「喧嘩祭」の意味・わかりやすい解説

喧嘩祭【けんかまつり】

喧嘩や,それに似た騒ぎを特色とした祭礼。大分県宇佐神宮の夏越(なごし)祭,岐阜県関市白山社の倉知(くらち)祭,岐阜市美江(みえ)寺の修正会(しゅしょうえ),姫路市松原八幡宮の喧嘩祭など,各地にある。神意を問い年の吉凶を占おうとするもので,神輿(みこし)渡御に際しての先頭争いや,神輿の押し合いなどで勝敗を競う。参拝人同士が悪口の言い合いをする悪態祭も同じ意義のものである。
→関連項目神輿

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世界大百科事典(旧版)内の喧嘩祭の言及

【宇佐神宮】より


[神事・宝物]
 中世には大小80余度の神事祭会があり,中でも放生会(ほうじようえ),行幸会は特殊神事として盛大に行われた。現在例祭は3月18日で,ほかに鎮疫祭(心経会)2月13日,御田植祭7月26日,神幸祭(夏越大祭,けんか祭)7月31日~8月2日,中秋祭(放生会)10月1~3日,春秋2度行われる致祭などがある。また奥宮大元神社(現,御許(おもと)山)の例大祭(春祭)は4月29日である。…

※「喧嘩祭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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