四字熟語を知る辞典 の解説
四字熟語らしくない四字熟語
だとすると、本書の中には「四字熟語らしくない四字熟語」の項目がいくつも含まれていることになります。
たとえば、「雨天順延」。行事の日に雨が降ったら、翌日以降に順に繰り延べるということで、二〇世紀の初めから例があります。つまり、わりあい新しいことばで、「四字熟語」と言うには迫力不足のような気もします。
ただ、「雨天順延」が現代語として熟していることは確かです。反対語の「
また、「雨天順延」には、特にメッセージ性も物語性もないという点も、迫力不足の理由になっています。
「温故知新」には「古いものの中に新しいものを生むヒントがある」というメッセージがあります。また、「四面楚歌」は中国・
ただ、それを言えば、一般に四字熟語とされる古いことばの中にも、メッセージ性や物語性がないものは、ごくありふれています。
たとえば「前代未聞」。唐代の「陳書」には「皇帝の功績が大きかったことは前代未聞である」と出ています。でも、その書物にそう書いてある、という以上のことはありません。「雨天順延」が二〇世紀初めの書物に出ている、というのと、本質的には同じことです。
つまり、現代語で「雨天順延」を「温故知新」などと区別する理由はありません。どれも日常生活に必要です。こうした考えのもとに、本書を編みました。
本書中の「四字熟語らしくない四字熟語」は、ほかにこんな語があります。
「外交辞令・過剰防衛・機会均等・規制緩和・帰巣本能・欠席裁判・公私混同・自殺行為・上昇志向・寸借詐欺・宣戦布告・台風一過・他言無用・男女同権・不労所得・粉飾決算……」
歴史性も教訓性もないけれど、現代語として活躍中の、四字の熟語です。
出典 四字熟語を知る辞典四字熟語を知る辞典について 情報