四念処(読み)しねんじょ(英語表記)catvāri smṛtyupasthānāni

精選版 日本国語大辞典 「四念処」の意味・読み・例文・類語

しねん‐じょ【四念処】

〘名〙 仏語三十七道品最初修行法。身・受・心・法の四つについて思いをこらして、常・楽・浄・我の四つのとらわれを破るもので、身を不浄とする身念処、感受するものすべて苦とする受念処、心は無常とする心念処、法は無我であるとする法念処の総称
往生要集(984‐985)大文五「如来還以四念処義、答其所問、言義不重、楽説無窮」

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デジタル大辞泉 「四念処」の意味・読み・例文・類語

し‐ねんじょ【四念処】

仏語。三十七道ほんの最初の修行法。身を不浄とする身念処、感受するものすべて苦とする受念処、心は無常とする心念処、法は無我であるとする法念処の四つをいう。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「四念処」の意味・わかりやすい解説

四念処
しねんじょ
catvāri smṛtyupasthānāni

四念住ともいう。仏教で 37種の修行を7つの部類に分けたものの第一で,この部類に属する4種の修行をさす。念処とは記憶をとどめおくことで,真剣な思いを意味する。 (1) 肉体の不浄 (身念処) ,(2) 感覚の苦 (受念処) ,(3) 心の無常 (心念処) ,(4) 法の無我 (法念処) に思いを凝らす観法。7つの部類の一つとして明確に位置づけられたのは後世であって,原始経典中には,上記の4種を独立の修行法として説く場合が多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「四念処」の意味・わかりやすい解説

四念処
しねんじょ

原始仏教経典に説かれた4種の観察法をいう。4種とは、(1)身念処(自己他人の肉体が不浄(ふじょう)であると観察すること)、(2)受念処(もろもろの感受作用は苦であると観察すること)、(3)心念処(もろもろの心作用は苦であると観察すること)、(4)法念処(すべての存在物は自分のものと執着(しゅうじゃく)すべき実体がないと観察すること)をいう。

坂部 明]

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