観法(読み)かんぽう

大辞林 第三版の解説

かんぽう【観法】

〔「かんぼう」とも〕
〘仏〙 意識を集中させ、特定の対象を心に思い描くことによって仏教の真理を直観的に認識しようとする修行。対象は日・月など具体的なものから菩薩や仏・仏国土・教理まで修行の種類に応じて異なる。観行。観門。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

観法
かんぼう

仏教で、悟境(ごきょう)(悟りの境地)に入るために法(ダルマ、真理)を観察すること。ことに自己の心の本性を観察する観心(かんじん)の方法をいう。それは悟りの道に入る門戸であるから、観門(かんもん)ともいう。観はサンスクリット語のビパシュヤナーvipayanの訳で、智慧(ちえ)をもって対象を観照することで、観念と同義である。天台宗では一念三千(いちねんさんぜん)、一心三観(いっしんさんがん)などのように、自己の心の本性を観ずることを強調するから、観心という。
 観の内容は諸宗によって異なり一様でない。たとえば、種々の想(おもい)を心に観ずる初歩的なものは観想というが、小乗や成実(じょうじつ)宗では諸法を分析して空(くう)なりと観ずるのを、析空観(しゃくうがん)、大乗では諸法の体そのままを空なりと観ずるのを体空観(たいくうがん)という。真言宗では梵字(ぼんじ)五十字母の阿(あ)字に本初の義と不生の義とがあるとして、阿字の上に宇宙人生を本不生(根本で不生の実在)と観ずるのを阿字観(あじかん)という。三論宗(さんろんしゅう)では八不中道(はっぷちゅうどう)を観ずるのを無得(むとく)正観という。さらに、真如(しんにょ)の理を観ずるのを理観、仏や浄土を観ずるのに差別の相を心にとどめて観照するのを事観(じかん)、唯識(ゆいしき)を観ずるのを唯識観などという。[伊藤瑞叡]

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精選版 日本国語大辞典の解説

かん‐ぽう【観法】

〘名〙
[一] (クヮンポフ)(「かんぼう」とも) 仏語。心に仏法の真理を観察し、明らかにする方法。天台の十乗観法はその一例。
※往生要集(984‐985)大文四「相好間雑。以為観法
※正法眼蔵随聞記(1235‐38)三「此言(ことば)、又只仮令(けりゃう)に観法なんどにすべき事に非ず」
[二] (クヮンパフ)
① 人相をみる法。
② 観察の方法。〔荀子‐成相〕

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世界大百科事典内の観法の言及

【観念】より

…三昧とは禅定(ぜんじよう)ともいわれ,心を集中して心が安定した状態に入ることである。禅定の追求が継承されていくなかでその方法が具体的に形成されることとなり,観仏・観法などの修行の仕方が明らかにされていく。観仏とは,釈迦や阿弥陀などの仏のすがたやその功徳(くどく)を心に思い浮かべて禅定に入っていくことで,観法とは,心を集中し真理を心に思い浮かべて,それを観察し念ずることである。…

※「観法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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