観察法(読み)かんさつほう(英語表記)method of observation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

観察法
かんさつほう
method of observation

野生動物の野外調査をするためには,まず観察可能な状態を作り出さねばならない。その方法に餌 (え) 付け,人付けなどがある。餌付けとは,調査や研究のためにえさを使って動物をおびき寄せる方法で,人付けとは,相手を驚かせたり,警戒させたりしないように毎日追跡し,しだいに距離を縮めて観察者がすぐ近くにいても動物が無視するところまで慣れさせる方法である。さらに,各個体に擬人的名前を付け,形態・行動上の特徴を覚えて識別 (個体識別法) していくことにより,動物社会の集団や血縁関係などの機構が明らかになる。

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図書館情報学用語辞典の解説

観察法

(1)図書館の蔵書評価方法の一つで,特定主題に詳しい専門家,あるいは複数の専門家からなるチームが直接にコレクションを点検し,その規模,深さ,資料の新しさや物理的状態などの特性や欠陥などを評価する方法.蔵書規模が小規模で,扱われている主題領域が限定されているときに効力がある.この評価法は,比較的簡便にコレクションを評価できるが主観的であるため,通常は,他の評価法と組み合わせて利用する.(2)利用者調査あるいは利用調査の手法の一つで,対象者を決めて資料やサービス,施設の利用状況を観察する方法.一定の条件を決める統制的方法と条件を決めないで対象者の行動を観察する非統制的方法がある.

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最新 心理学事典の解説

かんさつほう
観察法
observation method

研究対象を直接とらえ,その結果を言語や数値の形で記録して分析する方法の総称である。この用語は,厳密な条件統制を行なった実験法experimental methodや,研究者自身の感覚・知覚などの直接経験を対象化して記述する内観法introspectionなどと,区別して使われることが多い。しかし,実験室でなんらかの機器を介してデータ収集を行なう場合でも,目盛りを読むのは研究者の観察の一部であるし,内観にしても対象を変えた観察法の一種と考えることもできる。研究対象の観察・記述自体はだれにでもできそうに見えるが,実証研究として妥当な観察を行なうことは決して簡単でない。日常場面をぼんやりと見ているだけでは関心対象の事象について十分詳細な情報を得ることは困難であるし,観察者の認知能力や視点によって結果に制限が加えられることもある。また,観察者の願望や期待に影響されて,結果がしばしば歪められることも知られている。近年では研究者の直接観察だけではなく,ビデオなどの機器を用いた間接観察indirect observationにより,同じ場面を反復して客観的に検討する工夫を研究に組み込むことも多い。ただその場合でも,撮影場面を選択してフレームを決めたり,映像から特徴を抽出したりするのは研究者であることを忘れてはならない。

 実証研究に役立つデータを得るために,心理学をはじめとする諸科学ではさまざまな観察の手続きが考案されてきた。観察が一面的にならないようにする手法としては,関心対象の事象が生じるかどうか,どのように生じるかを一定の時間間隔で記録する時間見本法time sampling,関心対象の事象が生じやすそうな場面や状況を選んで集中的に観察を行なう場面見本法situational sampling,関心対象の事象を前もって特定しておき,それが生じたときにその前後の出来事とともに記録していく事象見本法event samplingなどがある。また,研究目的と観察対象がはっきりしているときには,観察を枠づけるカテゴリーやその属性を評定する尺度をあらかじめ準備したうえで対象の諸側面を記録する組織的観察systematic observationがなされる場合がある。さらに,あらかじめ明確な仮説があり,観察の場の条件が統制できるような場合には,その条件と関心対象の行動との関係を検証するために実験的観察experimental observationが行なわれることもある。観察の目的や仮説を知らない独立の観察者を使って,観察に歪みを生じさせない工夫が行なわれることもまれではない。

 以上のような工夫は,観察の焦点が決まっている場合に観察をより客観的にしていく点でとくに有効であるが,近年では,関心対象の現象について幅広い文脈との関連を見いだしながら新たな仮説を生成していく方向においても,観察法が見直されている。研究対象に対して操作を加えず,日常的な場面をそのまま観察する方法を自然的観察natural observationとよぶ。その中でも日誌法diary recording methodは,日常的な場面における対象者の行動を詳細に日誌に記録する方法であり,たとえば親が子どもを観察するような場合に使われる。また,自然的観察は程度の差こそあれ対象にかかわりながらの観察,つまり参加観察participant observationになることが多い。これは文化人類学のフィールドワークなどで使われてきた手法であり,観察者は研究対象者の生活環境に入り込んで,そこで行なわれている活動に参加しながら観察を行なう。この手法は,客観的な行動観察だけでは理解しにくい行動の社会的・文化的な文脈をとらえるために有効であり,質的研究qualitative researchへの関心の高まりとともに,心理学においても利用されるようになりつつある。ただ,そこで得られたデータや分析結果を実証研究としてどう評価していくかは,今後の課題として残されている。 →実験法 →質的研究法 →心理学方法論
〔能智 正博〕

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