四恩(読み)シオン(英語表記)sì ēn

デジタル大辞泉 「四恩」の意味・読み・例文・類語

し‐おん【四恩】

仏語。人がこの世で受ける4種の恩。「心地観経」では、父母衆生しゅじょう国王三宝の恩。

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精選版 日本国語大辞典 「四恩」の意味・読み・例文・類語

し‐おん【四恩】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。衆生がこの世で受ける四種の恩。経により内容を異にし、心地観経では、父母の恩・衆生の恩・国王の恩・三宝の恩の四つ、正法念経では、父の恩・母の恩・如来の恩・説法法師の恩を数える。
    1. [初出の実例]「天平十三年歳次辛巳七月十八日奉為四恩、写、檀越下村主広麻呂」(出典:大般若波羅蜜多経巻十二跋‐天平一三年(741)七月一八日)

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改訂新版 世界大百科事典 「四恩」の意味・わかりやすい解説

四恩 (しおん)
sì ēn

仏教用語。その数えかたはかならずしも一致しない。中国,宋の道誠の《釈氏要覧》では,父母の恩,師長先生年長者)の恩,国王の恩,施主の恩を見出しとしてかかげるが,そこにも引証されている唐の般若はんにや)訳《心地観経(しんじかんきよう)》では,父母の恩,衆生の恩,国王の恩,三宝の恩を数え,一切の衆生はすべて四恩をになった存在であると説き,四恩に報いるべきことが強調されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「四恩」の意味・わかりやすい解説

四恩
しおん

仏教用語。恩を受けていると考えられるものを4種に分類したもの。分類の方法もいくつかに分れる。 (1) 『心地観経』の説 (父母の恩,国王の恩,衆生の恩,三宝の恩) 。 (2) 『釈氏要覧』の説 (国王の恩,父母の恩,師友の恩,施主の恩) 。 (3) 『平家物語』の説 (天地の恩,国王の恩,父母の恩,衆生の恩) 。

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世界大百科事典(旧版)内の四恩の言及

【恩】より

…インドの仏教は縁起(相互依存)の思想によって人間の横の結びつきを重視したのにたいし,中国の儒教は忠孝を説く五倫五常(精神的秩序)の思想によって人間の縦の関係に注目したが,この考え方の違いが恩の観念にも反映した。仏教ではインド以来〈四恩〉が説かれたが,それは《正法念処経》では母,父,如来,説法の師の恩とされ,《大乗本生心地観経》では父母,衆生,国王,三宝の恩とされている。このうち父母と国王の恩を強調する《心地観経》の思想は中国や日本で重視され,封建道徳と結びつけられた。…

※「四恩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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