国掌(読み)コクショウ

デジタル大辞泉 「国掌」の意味・読み・例文・類語

こく‐しょう〔‐シヤウ〕【国掌】

平安時代国司の下で、記録雑務を担当した下級役人。

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精選版 日本国語大辞典 「国掌」の意味・読み・例文・類語

こく‐しょう‥シャウ【国掌】

  1. 〘 名詞 〙 九世紀中頃、全国に設置された下級官人。地方豪族の任命されることが多く、定員二名が原則で、分番して国掌所につとめた。把笏(はしゃく)が許され、政治裁判の際の威儀を整えるのを本務とした。
    1. [初出の実例]「置出羽国国掌二員」(出典日本三代実録‐貞観一一年(869)一二月二二日)

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改訂新版 世界大百科事典 「国掌」の意味・わかりやすい解説

国掌 (こくしょう)

9世紀後半から諸国に置かれた国衙の下級職員。定員2名。初見は《日本三代実録》貞観10年(868)10月28日条であるが,同書に翌11年末から12年にかけて出羽など9ヵ国で国掌新設記事がみえ,この時期に集中的に設置されたと思われる。国掌の職務を明示する史料はないが,《類聚符宣抄》所収の国掌補任官符の記事から,太政官官掌と同じく政事や訴訟の鋪設,申政や訴訟のさいの礼儀作法やことばづかいの指導がおもな職務であったと思われる。国掌が置かれるようになった背景には,京職職掌設置の事情と同様の状況が想定される。在地諸勢力の反国衙行動が活発化するなかで,国司官長の主導のもとに国衙権力を再建強化する諸方策の一環として,申政・訴訟のさいの威儀の回復をめざしたものと考えられる。平安中期以降は,在庁機構の一分課〈国掌所〉となる。
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