日本古代の官職の一つ。〈かんしょう〉ともいう。律令官制においては,太政官内の左右弁官および八省に掌が置かれ,左弁官・右弁官の掌を左官掌(さかじよう)・右官掌(うかじよう),八省の掌を省掌(しようしよう)といった。それぞれ定員は2名。官掌,省掌は史生(ししよう)の配下にあって訴人の行動や言辞を指導し,使部を監督し,官庁の建物や設備を管理・整備することを職掌とする。律令制の官職は,その職掌と勤務形態により,内長上(ないちようじよう),内分番(ないぶんばん),外長上(げちようじよう),外散位(げさんい)の4種に分けられるが,官掌,省掌は内分番の雑任(ぞうにん)の一つであって,交代出勤し,年間の出勤日数が140日以上あれば成績が審査され,8年間(のち6年間)の勤務成績が総合評価されて,位階が昇叙される。のち,弾正台,春宮坊,皇后宮職,左右京職,大膳職,主計寮,主税寮にも掌が置かれ,それぞれ台掌,坊掌,職掌,寮掌と称された。官掌の職は後世,左が小野・岩崎氏,右が庭田・峰氏の世襲となった。
執筆者:早川 庄八
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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