日本大百科全書(ニッポニカ) 「国際ココア協定」の意味・わかりやすい解説
国際ココア協定
こくさいここあきょうてい
International Cocoa Agreement
略称ICCA。ココアの原料であるカカオ豆の価格と需給の安定化を図るための国際商品協定。最初のココア協定は1972年に採択された「72年協定」で、73年に発効している。この「72年協定」を引き継ぎ、76年10月に「75年協定」が発効したが、79年の協定更改時に、緩衝在庫の操作基準となる価格帯をめぐる生産国と消費国との意見の対立から協定は失効するに至った。その後、生産国側に協定作成への協議気運が高まり、81年に「80年協定」が、87年に「86年協定」がそれぞれ発効した。「75年協定」までの価格安定化メカニズムは輸出規制と緩衝在庫操作によるものであったが、「80年協定」および「86年協定」では緩衝在庫方式のみが採用されている。続いて発効した「93年協定」は、ココアの分野における国際協力の進展、ココアの供給と需要との間の均衡、妥当な価格による十分なココアの供給確保をおもな目的としている。経済条項としては、世界のココア市場における構造的な供給過剰状況を背景に、緩衝在庫制度にかわって生産管理計画が導入された。
1997年現在の加盟国は40か国(輸出国18、輸入国22)およびヨーロッパ連合(EU)で、日本は「72年協定」以来継続して輸入国として加盟している。同協定に基づいて国際ココア機関International Cocoa Organization(ICCO)が設立されており、国際ココア理事会、執行委員会、事務局で構成され、本部はロンドンに置かれている。
[入江成雄・横川 新]