在庁(読み)ザイチョウ

デジタル大辞泉 「在庁」の意味・読み・例文・類語

ざい‐ちょう〔‐チヤウ〕【在庁】

[名](スル)
官庁に勤めていること。「在庁時代」
出勤して役所にいること。「長官在庁する時間
平安中期、国衙こくがで行政実務を行った下級役人。のち、在庁官人略称としても用いられた。

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精選版 日本国語大辞典 「在庁」の意味・読み・例文・類語

ざい‐ちょう‥チャウ【在庁】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 国府などの官庁に在勤すること。また、その職員。介・掾などの官人に対し、地方豪族で文書行政の実務を担当する惣大判官代などを指す。
    1. [初出の実例]「守に此の由を申ければ、忽に在庁の官人を召て、蔵を開させて見れば」(出典:今昔物語集(1120頃か)二九)
  3. ざいちょうかんにん(在庁官人)」の略。〔中右記‐大治二年(1127)一〇月一〇日〕
    1. [初出の実例]「中にも阿波讚岐の在庁ども、平家をそむいて源氏につかんとしけるが」(出典:平家物語(13C前)九)
  4. 平安中期以降、僧綱所や寺院で、長官(法務別当)が他寺にあって不在化したため、留守官として事務を取り扱った者。僧綱所の場合、その指揮者として総在庁があった。〔小右記‐万寿元年(1024)一〇月二〇日〕

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「在庁」の解説

在庁
ざいちょう

平安中期以降,国衙(こくが)の実務を行った現地の役人。国司四等官や史生(ししょう)は本来中央からの派遣官であり,国衙の実務はその下で働く国内の有力豪族層出身の書生(しょしょう)や雑色人(ぞうしきにん)がになった。平安中期にはこうした国衙運営にたずさわる在地有力者が在庁と称して国衙機構の所(ところ)を分掌する体制ができ,惣大判官代・大判官代・判官代・録事代(ろくじだい)といった職名を名乗った。また寺院組織でも長官不在中の実務担当者に在庁の称がみられる。

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普及版 字通 「在庁」の読み・字形・画数・意味

【在庁】ざいちよう

執務中。

字通「在」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の在庁の言及

【在庁官人】より

…平安後期から鎌倉時代にかけて諸国国衙(こくが)の実質的運営を担った下級の役人。在庁とはそもそも国府(国衙)などの官庁に在勤すること,あるいはその在勤者を指す用語であり,在庁官人は単に在庁もしくは庁官などと称することもあった。《今昔物語集》に〈守に此の由を申しければ忽(たちま)ちに在庁の官人を召して,蔵を開けさせて見れば……〉と見える例をはじめ,当該期の地方行政の運営者としての彼らの活動を示す史料は少なくない。…

※「在庁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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