(読み)ザイ

デジタル大辞泉 「在」の意味・読み・例文・類語

ざい【在】

《「在郷ざいごう」の略》いなか。在所。多く、都市周辺にいう。「埼玉に住む」
その場所にいること。また、地名の上に付けて、そこにいることを表す。「不在を確かめて訪問する」「ロンドン」
[類語](1田舎在所在地在方地方ローカル在郷ざいごう近在田園ひな辺地辺境僻地へきち僻陬へきすう辺鄙奥地辺土片田舎鄙びる草深い

ざい【在】[漢字項目]

[音]ザイ(呉) [訓]ある います ます まします
学習漢字]5年
そこにある。いる。「在学在庫在宅介在健在現在散在自在実在所在潜在存在滞在不在
住んでいる。「在住在所
いなか。「在郷ざいごう近在
[名のり]あき・あきら・あり・すみ・とお・まき・みつる

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精選版 日本国語大辞典 「在」の意味・読み・例文・類語

ざい【在】

  1. 〘 名詞 〙
  2. あること。いること。地名の上に付いて、その地にいること、存在することを表わす場合も多い。「在ロンドン」「在日公館」
    1. [初出の実例]「武蔵国の住人畠山庄司次郎重忠、ざい鎌倉して筋違橋にありけるが」(出典:曾我物語(南北朝頃)三)
    2. 「此時ラムリ門前に来り家僕にマルツラバースの在(ザイ)不在を問ひ」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉六〇)
  3. ( 「在郷(ざいごう)」の略 ) いなか。在所。特に、都会から少し離れた所をいうことが多い。また、地名の下に付けても用いる。
    1. [初出の実例]「去年及両度、以使者申候処、越中金山在不審、中途より差返候」(出典:上杉家文書‐(永祿一二年)(1569)二月二七日・三木良頼書状)
    2. 「何所々々の在の者、幾人わたしけるぞとの御たづねに」(出典:浮世草子・子孫大黒柱(1709)四)

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普及版 字通 「在」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

[字音] ザイ・サイ
[字訓] ある・おる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
才+士。才は神聖を示す榜示の木で、在の初文。卜文・金文では、才を在の字義に用いる。士は鉞頭の形。その大なるものは王。王・士もまた聖器で、身分象徴に用いた。神聖の表示である才と士とを以て、その占有支配の意を示したものと思われる。〔説文〕十三下に「存なり」とし、「土に從ひ、才聲」とするが、金文の字形は士に従う。金文には才声の字である載・をみな在の意に用いる。〔師虎(しこき)〕「先王に(あ)り」、〔段(だんき)〕「王、畢に(あ)り」、〔卯(ぼうき)〕「乃(なんぢ)の先考に(あ)り」などの例があるが、それらはみな才・在と通用する用義である。在にまた在察・存問の意があり、〔儀礼、聘礼〕「子(し)、君命を以て寡君を在(と)ふ」、〔書、舜典〕「玉衡(せんきぎよくかう)を在(あき)らかにす」のように用いる。子に聖記号として才を加えた存の字にも、存問の義がある。

[訓義]
1. ある、特定の時、また所にある、位置を占める、います、聖的な存在であること、清められたものをいう。
2. 人がおる、います。
3. みる、あきらかにみる。
4. たずねる、みまう。

[古辞書の訓]
名義抄〕在 アリ・マシマス・ハムベリ・ツバビラカ・アキラカニナリ・オキテ/自在 ワガマムマナリ/在々 トコロトコロ 〔字鏡集〕在 アキラカ・ヲハル・アリ・オク・ナク・マス・ハンベリ・マシマス・ツバビラカ・オキテ・ムカシ・ヰル

[声系]
〔説文〕に在声として艸部の一字を収めるが、声義の関係はない。〔玉〕に恠の字を収めるが、怪の俗字である。

[語系]
在dzは存dzunと声義の関係をもつ字と思われる。存在と連用する。字形に即していえば、在は神聖の榜示としての才に、聖器としての鉞頭の士を加えて、その領有支配を明確にする意であろう。また存は、子に神聖の榜示を加えて、その生存を祓い保障する意を含むものであったと思われる。

[熟語]
在握・在案・在位・在役・在下・在仮・在家・在我・在外・在官・在監・在疚・在京在郷・在勤・在後・在在・在察・在事・在室・在日・在舟・在処・在所・在上・在職・在心・在世・在生・在勢・在昔・在籍・在先・在・在草・在側・在俗・在庁・在朝・在廷・在途・在逃・在堂・在内・在任・在念・在服・在亡・在目・在野・在来・在理
[下接語]
安在・行在・越在・介在・外在・近在・君在・見在・健在・顕在・現在・顧在・好在・混在・散在・自在・実在・所在・如在・常在・昔在・潜在・存在・滞在・駐在・長在・点在・内在・不在・伏在・平在・偏在・遍在

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