地下派(読み)ジゲハ

デジタル大辞泉 「地下派」の意味・読み・例文・類語

じげ‐は〔ヂゲ‐〕【地下派】

近世和歌一派松永貞徳を祖とし、二条派歌学を唱えたが、貴族的な和歌を庶民の間に広めた。→堂上派

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精選版 日本国語大辞典 「地下派」の意味・読み・例文・類語

じげ‐はヂゲ‥【地下派】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代の和歌の一派で、堂上派に対する。公家に対して、武士町人を中心として、古今伝授や歌道伝授を受けつぎ、歌学や歌風を発展させた。萌芽は室町中期の東常縁(とうのつねより)宗祇らだが、細川幽斎門下の松永貞徳の流派が主流を占め、北村季吟などに受けつがれた。同じ幽斎門下の木下長嘯子から下河辺長流への系統などもある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「地下派」の意味・わかりやすい解説

地下派
じげは

和歌の流派。堂上(とうしょう)派に対する名称。広くは、室町時代の宗祇(そうぎ)らの道統や、近世後期の江戸派、桂園(けいえん)派などを含めることができるが、普通には、近世初期の、細川幽斎から堂上、武家に広く古今伝授(こきんでんじゅ)して、道統を伝えた堂上派に対して、地下(じげ)の松永貞徳(ていとく)に伝わった道統をさしていう。その貞徳の門から、北村季吟(きぎん)、加藤盤斎(ばんさい)、和田以悦(いえつ)、望月長好(もちづきちょうこう)、宮川松堅(しょうけん)、元政上人(げんせいしょうにん)らが出て、古典の注釈書や家集を残した。その歌学や歌風は、堂上派と同じく二条派の流れをくむが、そのなかから、やがて元禄(げんろく)期(1688~1704)の和歌革新を生む素地がつくられる。

[島津忠夫]

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