地下経済(読み)チカケイザイ(その他表記)underground economy

デジタル大辞泉 「地下経済」の意味・読み・例文・類語

ちか‐けいざい【地下経済】

税制政府による種々の規制から逃れてなされ、実態が報告されないために統計で把握されていない経済活動アングラ経済。→アングラマネー

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地下経済」の意味・わかりやすい解説

地下経済
ちかけいざい
underground economy

政府に報告されない物品・サービスの商取引。闇経済,アングラ経済ともいう。税務当局の監視が及ばない経済活動で,違法な取り引きをさすこともあれば,通常は合法的であるが必要な免許を取得せずに納税(→租税)を免れているものをさすこともある。違法な経済活動には麻薬取引,盗品売買,密輸賭博詐欺などがある。なお合法的な地下経済の例として,一定額をこえない個人的な売買や物々交換がある。地下経済は当然のことながら,いかなる政府の記録にも盛り込まれないため,その規模の把握は難しい。また世界経済や国内経済の変動に敏感なため経済規模も変化しやすい。不況期には成長するが,脱税への罰則が厳しくなれば活動は縮小する。
地下経済に従事する人には通常の職をもたない人がいる。彼らの多くは職を得るために必要とされる技能や社会的ネットワーク,必要書類などをもっていない。不法入国した移民たちが占める地下経済では,彼らへの報酬がしばしば法定最低賃金(→最低賃金制)を下回り,衛生面,安全面でも政府の基準を満たしていない事例が多い。逆に,一般に通用する技能をもちながら,通常の職より高収入を得られるという理由で地下経済を選ぶ人もいる。さらに,臨時の非正規就業のほうが個人的自由を確保できることから地下経済を好む人もいる。
地下経済を有害とみるか有益とみるかは,みる側の価値観や政治理念によって変わってくる。国家を適正賃金と労働慣行の守護者であると考える人は,地下経済の成長を社会福祉への大きな脅威とみなす。税の未納社会計画に注入できる資金を減らし,かつ,地下経済の就労者は通常の労働者のように法的保護を受けられないからである。

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