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社会福祉 しゃかいふくし social welfare

翻訳|social welfare

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

社会福祉
しゃかいふくし
social welfare

個人や家族の所得を一定水準まで上げ,医療,住宅,教育,レクリエーションなどの福祉を増大させようとする活動,制度。救貧的な社会事業の段階を経て,今日では権利的性格の明らかな最低生活保障制度としての公的扶助を基軸に,社会的障害をもつ人々に対する心理的・社会的援助を含む包括的な対人サービスの制度にまで,その概念は広がっている。

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デジタル大辞泉の解説

しゃかい‐ふくし〔シヤクワイ‐〕【社会福祉】

生活困窮者、身寄りのない老人・児童、身体障害者など、社会的弱者に対する公私の保護および援助。生活保護法児童福祉法母子及び寡婦福祉法老人福祉法身体障害者福祉法知的障害者福祉法などによって国や地方公共団体が行うものや社会福祉法によって社会福祉法人が行うものなどがある。

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百科事典マイペディアの解説

社会福祉【しゃかいふくし】

広義には国民の生活の安定と福祉の増進を図ることを目的として行われる社会的な方策または行動体系を意味する。戦前は社会事業と呼ばれていたが,戦後は新しい憲法の理念に基づき,とくに社会福祉事業としては,社会保障制度の一環として,生活困窮者,障害者,児童,老人などの社会的に援護を要する者の自立と社会参加をうながす事業とされている。
→関連項目グループ・ワークコミュニティ・ワーク在宅福祉施設福祉社会福祉士・介護福祉士生活保護制度ソーシャル・ワーカー地域福祉ノーマライゼーション保母ホームヘルパー民生委員

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世界大百科事典 第2版の解説

しゃかいふくし【社会福祉 social welfare】

社会福祉とは,ごく一般的にいえば低所得,要扶養,疾病,心身の障害,高齢などに起因する生活上の困難や障害に対して,その解決や緩和をめざして発展させられてきた社会的な施策とそのもとにおいて展開される援助活動の総体である。こうした施策・活動の生成は一定の発展段階に到達した社会に共通する現象であるが,その理念,形態,内容は時代と国によって違いがある。おのずと社会福祉の理解のしかたも多様にならざるをえないが,およそのところ以下の3通りに整理することができる。

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大辞林 第三版の解説

しゃかいふくし【社会福祉】

貧困者などの生活を保障し、心身に障害のある人々の援助などを行なって、社会全体の福祉向上をめざすこと。教育・文化・医療・労働など、広い分野に関係する組織的活動で、生活保護法・児童福祉法・身体障害者福祉法・社会福祉法などの法律に基づき、原則として国・地方公共団体・社会福祉法人の行う第一種社会福祉事業と、その他の者が知事に届け出て行う第二種社会福祉事業がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

社会福祉
しゃかいふくし
social welfare

社会福祉は多義的な概念である。日本における一般的な用語法によれば、それは、基本的には次の二つの意味のいずれかで使われている。
(1)社会成員の幸福な状態。それは、現実にはまだ実現していないものであり、したがって、目標や理想として追求するべきものであるとされることが多い。
(2)社会成員の幸福な状態をもたらすための制度、政策、実践など。
 (1)を目標概念、(2)を手段、方法を表す実体概念ということもある。[副田義也・株本千鶴]

福祉とは何か

日本の社会福祉研究の初期の代表的研究者竹中勝男(1898―1959)は、主著『社会福祉研究』(1950)において、福祉を意味するドイツ語Wohlfahrtの語源を研究し、先に述べたところとほぼ同じ結論に達している。このことばは、16世紀ごろwohlとfahrenとが結び付いて慣用的に使われ始めたものである。wohlは、願う、望むという意味の動詞wollenの語基が副詞化したもので、英語のwellにあたる。fahrenは、一つの場所から他の場所に移るという意味の動詞である。この二つの単語が結び付いた結果としてのWohlfahrtは、望ましい状態に変えるという内容をもつことになった。そうして、このことばには、人間の生活の理想状態という意味と、その状態に向かう営み、活動という意味とがある。[副田義也・株本千鶴]

日本国憲法の規定と解釈

「社会福祉」ということばが、国民の間に広く知られ、使われるようになったきっかけの一つは、それが1946年(昭和21)に制定された日本国憲法の条文に登場したことであろう。
 「第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」
 この条文に託されている社会福祉は何を意味しているかについて、憲法学者宮沢俊義(としよし)は、『憲法 基本的人権』(1959)において、「社会福祉とは、国民生活をできるだけ豊かならしめること、社会保障とは、国民の生存を、公的扶助または社会保険により確保すること、そして公衆衛生とは、国民の健康を保全し増進することをいう」と述べている。すなわち、これによれば、社会福祉とは、国民の幸福を「豊か」な状態に具体的に特定化し、その状態に国民の生活をできるだけ近づけることであるということになる。これは、一般的な用語法でいう手段、方法としての社会福祉、竹中のいう生活の理想状態に向かう営み、活動としての福祉と共通する部分が大きい。
 しかし、憲法学者の間でも、この社会福祉について別の解釈もある。小林直樹(なおき)(1921― )は『現代基本権の展開』(1976)において、日本の憲法の枠組みのなかでいえば、第25条は、社会福祉の「広狭二つの実用=制度的概念」を与えている、と述べている。「その前段で、すべての国民が有するとされるいわゆる生存権、すなわち『健康で文化的な最低限度の生活を営む権利』は、広義の(但(ただ)しミニマムの)社会福祉を指すとみてよいだろう。その後段で、『社会保障及び公衆衛生』という言葉に並記された『社会福祉』は、社会事業と殆(ほとん)ど同義の狭い概念である」とした。引用文中の社会事業は、現行制度としての社会福祉事業をさすものであろうと解される。[副田義也・株本千鶴]

社会保障制度審議会による定義

小林による、憲法の条文中に現れる社会福祉の規定と同一の社会福祉の定義は、社会保障や社会福祉事業の研究においてしばしばみかけられる。おそらく、小林の先の規定はそれらに倣ったものであろう。この種の定義の先駆例の一つは、社会保障制度審議会が1950年(昭和25)に行った勧告のなかにみられる。それによれば、狭義の社会保障は、国家扶助(公的扶助)、社会保険、社会福祉、公衆衛生・医療の4部門に分かれる。広義の社会保障は、これらに、恩給、戦争犠牲者援護が加えられ、さらに、関連制度として住宅対策および雇用対策の一部があげられている。つまり、社会福祉は社会保障の下位概念ととらえられ、そこでは、社会福祉は次のように定義される。「社会福祉とは、国家扶助の適用を受けている者、身体障害者、児童、その他援護育成を要する者が、自立してその能力を発揮できるよう必要な生活指導、更生補導、その他の援護育成を行なうことをいう」。
 この社会福祉の定義がつくられた翌年に社会福祉事業法(昭和26年法律第45号)が制定されている。それは、かつて社会事業とよんだものを、いくらか発展させつつ社会福祉事業とよんだのであった。この名称の変更が行われた際の動機としては、社会事業には救済事業の古いイメージが残存しており、それが嫌われたこと、憲法で社会福祉ということばが使われており、それを取り込むことでより積極的なイメージの形成が図られたこと、などがいわれている。社会福祉事業は、その後、しばしば社会福祉とか福祉と略称されるようになった。社会保障制度審議会の1950年における社会福祉の定義は、法が定める制度としては翌年に現れる社会福祉事業の定義を、まえもって準備したかっこうになった。なお、旧総理府に置かれていた社会保障制度審議会は、2001年(平成13)の中央省庁再編に伴い廃止され、その機能は内閣府の経済財政諮問会議および厚生労働省の社会保障審議会に引き継がれた。[副田義也・株本千鶴]

社会福祉法

1970年代に登場したノーマライゼーションの概念(障害者や高齢者を排除するのではなく、ともに平等に暮らせる社会こそがノーマルな社会であるという考え方)は、おもに障害者の自立生活運動を通じて広く普及し、日本でも社会福祉の重要な理念の一つととらえられるようになった。それはまた、高度経済成長期を終えて、社会保障制度の縮小を目的とした社会保障改革の指向性に沿ったものとしても作用している。すなわち、1980年代、1990年代の社会保障基礎構造改革は社会福祉事業における公の責任を利用者への金銭的助成に限定し、サービスの供給については責任はないものとした。そこでは、自己選択によって社会福祉サービスを受給する自立した利用者が想定されている。2000年(平成12)に社会福祉事業法が改正され、社会福祉法と名称が変えられた。名称変更の意味は、事業者・提供者中心であった社会福祉を利用者中心の視点でとらえ直し、事業者と利用者を対等な関係とみることにあるといわれる。社会福祉の観点を転換させることで利用者本位の社会福祉を実現させることができるかどうかは、その名称変更の意味が制度や実践にどう反映されるかに左右される。公と私が自立と責任をどう引き受けていくのか、そのバランスの取り方が問われる。[副田義也・株本千鶴]

欧米の用法

欧米諸国では、方法、手段としての社会福祉について、以上に述べたところと区別されるさらに二つの用法が存在する。その一つは、社会福祉の対象は全国民であり、彼らの生活に関連するすべての社会的サービスが社会福祉であるとする。このような用例はイギリスなどで多くみられるが、具体的には、これは、福祉国家で「揺り籠(かご)から墓場まで」の国民の生活を保障するすべての政策、実践を意味し、労働、教育、住宅などの公共施策を社会福祉に含んでいる。いま一つは、それらの生活に関連するサービスを人々が利用し、自分の生活問題を自主的に解決するのを援助することが社会福祉であるとする。これは、アメリカで成立した社会事業技術の理念を極限化したところに現れる社会福祉概念というべきであろう。[副田義也・株本千鶴]

地球規模の社会福祉

以上の社会福祉は、明言されているか否かの違いはあるにせよ、いずれも、一つの国民社会の範囲で考えられるものであった。これに対して、世界社会、地球社会の社会福祉、人類的規模での社会福祉を考えなければならない条件がすでに熟している。福祉を世界規模で検討する発想は、1950年代にミュルダールが「福祉世界」ということばで主張していた。1990年代以降、冷戦が終結してから噴出してきたのはエスニシティ(ある民族としての特性やアイデンティティをもつ人々)の問題である。マイノリティ(集団のなかで差別・排除の対象となる人々)集団であるエスニシティとマジョリティ(集団のなかでの多数の成員)集団との共存を、政策によって解決する試みがなされるようになってきた。しかし、国民国家の概念は根強く残り、国籍を超えたマイノリティへの対応はいまだ萌芽(ほうが)状態にある。[副田義也・株本千鶴]
『副田義也編『社会福祉の社会学』(1976・一粒社) ▽仲村優一他編『講座 社会福祉』全10巻(1981~1999・有斐閣) ▽一番ケ瀬康子・小松源助著『社会福祉概論』(1984・医歯薬出版) ▽社会保障研究所編『社会福祉改革論』(1984・東京大学出版会) ▽仲村優一著『社会福祉概論』(1991・誠信書房) ▽古川孝順・庄司洋子・定藤丈弘著『社会福祉論』(1993・有斐閣) ▽三浦文夫著『社会福祉政策研究』増補改訂(1995・全国社会福祉協議会) ▽古川孝順編『社会福祉21世紀のパラダイム――理論と政策』(1998・誠信書房) ▽一番ケ瀬康子・高島進・高田真治・京極高宣編『講座 戦後社会福祉の総括と21世紀への展望(1)総括と展望』(1999・ドメス出版) ▽星野信也著『「選別的普遍主義」の可能性』(2000・海声社) ▽岩崎晋也編著『リーディングス日本の社会福祉 第1巻』(2011・日本図書センター)』

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