地方自治体が地域の自然環境を保全し、持続可能な利用を推進するために定める区域。2014年(平成26)6月、自治体が地域自然資産区域について入域料を徴収することなどを認める「地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する法律(自然資産区域法)」(平成26年法律第85号)が成立した。自治体は国の基本方針に基づき、土地所有者や関係団体、有識者と協議して地域計画を作成し、入域料の徴収方法や金額を決め、入域料を資金として実施する植生復元、遊歩道やトイレの整備などの地域自然環境保全等事業を定めることができる。また、同法では区域内の土地を一般社団法人やNPOなどの民間団体が取得し、維持管理を行うトラスト活動を促すため、自治体による基金の設置を認めている。
国内ではすでに2008年から鹿児島県の屋久島(やくしま)で、一口500円の山岳部保全募金を導入しているが、収支の状況は芳しくない。地域自然資産区域が定められると、このような地域では利用者から強制的に入域料を徴収することができるようになる。入域料の徴収は環境保全のために入域者数を抑制するという側面もある。富士山では2014年から任意の保全協力金1人1000円の収受が始まった。同法によって常態的に不足している自然環境の保全資金が確保される可能性があるものの、利用者数を抑制することにつながるかは未知数である。
[編集部]
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