扇の地紙を売り歩いた商人。地紙は扇または傘にはる紙をいい,扇地紙は扇形に切った紙で,これを折って扇にはった。滝沢馬琴の《燕石雑志》(1811)や小川顕道の《塵塚談》(1814)によると,天明(1781-89)初年ころまで,夏になると江戸の町に見られたようである。地紙形の箱を五つ六つ肩にかつぎ,買手と値段が折り合うとその場で折って売った。放蕩(ほうとう)のはて親に勘当された道楽息子などが多かったらしく,はでな服装をして役者の声色や物まねをして売り歩いたという。京都製の扇子が江戸の庶民にも行き渡ると,それまでのようにだてな扇を持つ人がなくなり,地紙売も見られなくなったようである。
執筆者:遠藤 元男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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