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地震売買 じしんばいばい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

地震売買
じしんばいばい

借地人に不当な地代値上げを承認させたり,その追出しをはかる目的で借地人のいる土地地主が売却すること。債権である不動産賃借権は第三者 (新地主) に対抗できないという民法の原則を利用し,特に日露戦争後の地価騰貴の時期に悪徳地主によって頻繁に行われた。借地上に建物を有する借地人はこれにより,地震が起ったと同様の危険にさらされるのでこの名が生れるとともに,大きな社会問題となり,建物保護ニ関スル法律が制定される契機ともなった。この建物保護法は 1991年の借地借家法制定によって廃止され,その規定は借地借家法 10条に引継がれている。

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デジタル大辞泉の解説

じしん‐ばいばい〔ヂシン‐〕【地震売買】

地上権または土地の賃借権登記されていない場合に、地主が地代値上げの目的で建物のある土地を仮装的に売買すること。日露戦争後の地価の暴騰の際に盛んに行われた。地震のように借地上の建物の存立基盤を危うくするところから言われた語。

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大辞林 第三版の解説

じしんばいばい【地震売買】

土地の賃貸人(地主)による、建物のある土地の仮装売買。借地人に対し、土地の明け渡しや地代値上げを請求する手段として行われた。地震のように借地上の建物の存立を危うくするところからいわれる。

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世界大百科事典内の地震売買の言及

【借地】より

…民法上は,建物所有のための土地利用権限として地上権と賃借権があり,1900年公布の〈地上権ニ関スル法律〉により,それ以前からの土地利用権限は地上権であると推定された(物権たる地上権と推定することによって借地人を保護する)が,この法律ができたためかえって,地主は賃貸借であることを明確にすることによって地上権をさけるようになった。地代値上げの争いから,借地の所有権を移転して,借地の明渡しを求めることが行われるようになり(地震売買という),09年の建物保護法が制定されて建物の登記がなされていれば,所有者が交代しても,明渡しを求められないことになった。現在では建物保護法は1991年に廃止され,借地借家法10条により対抗力があるとされている。…

【建物保護法】より

…民法典上は,賃貸されている土地の所有者がかわると,賃借権が登記されていない限り,賃借人は賃借権を新しい地主に主張(対抗)できないことになるが(605条),実際には,賃借権の登記は,ほとんどなされなかったため,地主は賃借人に地代値上げを請求し,賃借人がこれを承諾しないと,所有権を譲り渡して新地主から賃借人に明渡しを求めるという方策をとった。こうした譲渡は地震のように突如として建物を破壊するというので,地震売買と呼ばれ,明治30年代に大問題になった。そこで,借地人の権利の保護が唱えられ,賃借権そのものの登記がなくても,借地上の建物登記(これは地主の協力なしに借地人単独でできる)があれば,新地主にも借地権を主張できるという建物保護法が制定されるに至った。…

※「地震売買」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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