望遠鏡の鏡筒部分を塔内に固定し,塔上に置いた鏡を使って光を鏡筒部に送り込む型の望遠鏡。口径の大きい長焦点の望遠鏡の場合には鏡筒部に比して小さな鏡だけを動かせばよい。太陽観測では高分解能でスペクトルを観測するため,口径の大きな長焦点の望遠鏡が必要であったので,1907年ウィルソン山天文台に高さ60フィート(約18m)の太陽塔が建てられたのが始まりで,24年ポツダム天文台に建てられたアインシュタイン塔は建築学的にも有名である。日本でも33年に東京三鷹の東京天文台に塔望遠鏡がつくられた。塔上には通常2枚の鏡(シーロスタット)がおかれ,常時光を垂直下の望遠鏡に導くようになっている。そして結像した光は地上あるいは地下の大分光器に入る。一般には鏡は任意の方向に光を送れるのであるが,とくに垂直にして塔をつくるのは光の取入口をなるたけ地表から離れた場所において,地表近くの空気の乱れで太陽像あるいは星像が悪くならないようにするためである。
執筆者:牧田 貢
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