塔望遠鏡(読み)トウボウエンキョウ(その他表記)tower telescope

デジタル大辞泉 「塔望遠鏡」の意味・読み・例文・類語

とう‐ぼうえんきょう〔タフバウヱンキヤウ〕【塔望遠鏡】

望遠鏡を塔内に垂直に固定し、塔上のシーロスタットにより太陽光鏡筒に導く型の望遠鏡。太陽スペクトルなどの研究に使われる。

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精選版 日本国語大辞典 「塔望遠鏡」の意味・読み・例文・類語

とう‐ぼうえんきょうタフバウヱンキャウ【塔望遠鏡】

  1. 〘 名詞 〙 太陽光線スペクトル分析をするために造られた塔状の大きな望遠鏡。塔上に設置された鏡(シーロスタット)によって太陽光は塔内を通って地上あるいは地下分光器に導かれる。

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改訂新版 世界大百科事典 「塔望遠鏡」の意味・わかりやすい解説

塔望遠鏡 (とうぼうえんきょう)
tower telescope

望遠鏡の鏡筒部分を塔内に固定し,塔上に置いた鏡を使って光を鏡筒部に送り込む型の望遠鏡。口径の大きい長焦点の望遠鏡の場合には鏡筒部に比して小さな鏡だけを動かせばよい。太陽観測では高分解能でスペクトルを観測するため,口径の大きな長焦点の望遠鏡が必要であったので,1907年ウィルソン山天文台に高さ60フィート(約18m)の太陽塔が建てられたのが始まりで,24年ポツダム天文台に建てられたアインシュタイン塔は建築学的にも有名である。日本でも33年に東京三鷹の東京天文台に塔望遠鏡がつくられた。塔上には通常2枚の鏡(シーロスタット)がおかれ,常時光を垂直下の望遠鏡に導くようになっている。そして結像した光は地上あるいは地下の大分光器に入る。一般には鏡は任意の方向に光を送れるのであるが,とくに垂直にして塔をつくるのは光の取入口をなるたけ地表から離れた場所において,地表近くの空気の乱れで太陽像あるいは星像が悪くならないようにするためである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「塔望遠鏡」の意味・わかりやすい解説

塔望遠鏡
とうぼうえんきょう
tower telescope

主として太陽光線の分光学的研究に使われる塔形の望遠鏡。その上部シーロスタットにより,塔の内部を通って地下へ導いた太陽光線を分光器によってスペクトルに分解する装置で,結像系の焦点距離は 10~15m,1Åにつき 1mm以上に分散させ,スペクトルの微細な構造を研究することができる。一般相対性理論による太陽スペクトル赤方偏移を測定するために建てられたドイツのポツダム天文台の塔望遠鏡は特に有名で,これはアインシュタイン塔と呼ばれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「塔望遠鏡」の意味・わかりやすい解説

塔望遠鏡
とうぼうえんきょう

塔の中に長焦点の望遠鏡を垂直に置き、塔上に設置したシーロスタットによって天体からの光を望遠鏡に導くようにした天体観測設備。

[日江井榮二郎]

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百科事典マイペディア 「塔望遠鏡」の意味・わかりやすい解説

塔望遠鏡【とうぼうえんきょう】

主として太陽スペクトルの研究に使われる塔形の望遠鏡。分光器の分散能を大きくするため焦点距離数十mもの光学系を使い,塔上のシーロスタットにより太陽を追跡しながら光線を地下の分光器室に導く。
→関連項目アインシュタイン塔

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