翻訳|archipelago
多数の島々が点在する海。起伏のある山地が地盤の沈降または後氷期における世界的な海面上昇によって沈水し,その開析谷が溺れて生じた地形であり,海岸は溺れ谷をもつ湾入の多いリアス海岸となる。
archipelagoはギリシアのエーゲ海の別名でもある。エーゲ海はギリシア語でAigaión Pélagosといい,ギリシア神話の英雄テセウスの父アイゲウスが,この海に身を投げたことにちなんでいるが,中世に転訛して〈もとの〉あるいは〈最初の〉を意味するarchiと〈海〉を意味するpélagosからarchipelagoとなった。しかし,エーゲ海に多くの島が点在していることから多島海の意でも用いられるようになり,さらに現在は,点在する島々そのものを指す〈群島〉の意で用いられている。
執筆者:滝沢 由美子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…南はクレタ島を経て東地中海につながり,北東へはダーダネルス海峡,マルマラ海を経由して黒海に通じる。多島海(アルキペラゴArchipelago)という別名をもつとおり島が多く,これらはキクラデス諸島,北スポラデス諸島,ドデカネス諸島(南スポラデス諸島)ならびにクレタ島に分かれる。島々のほとんどは,ほぼ東西に走る3本の沈降海底山脈の頂上が水面に現れたものである。…
…しかし,海岸線が発達し港に事欠かないため,エーゲ海に向かって開かれている。しかもこの海には多島海の名のように多くの島々が散在し,海路は陸路よりもいっそう物資の交換と文化の向上をうながす道である。日照日が多く雨の少ない瘦せ地にとって最も収益のあがるオリーブとブドウの栽培を盛んにすれば,その製品である油と酒を他の世界にまで輸出して富の蓄積ができる。…
※「多島海」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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