多板類(読み)タバンルイ(その他表記)Polyplacophora; chiton; pill bug

関連語 名詞

精選版 日本国語大辞典 「多板類」の意味・読み・例文・類語

たばん‐るい【多板類】

  1. 〘 名詞 〙 軟体動物門の一綱。体の背側には、八枚貝殻縦列し、それらを肉帯でめぐらしている。足うらは大きくて扁平、這うのに適している。頭には触角も眼もない。鰓は外套腔両側にならぶ。海岸の岩のくぼみや、石の下側などに付着し、多少移動しながら、石の表面についている小さな藻類をたべる。ヒザラガイ類。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「多板類」の意味・わかりやすい解説

多板類
たばんるい
Polyplacophora; chiton; pill bug

軟体動物門多板綱の貝の総称オオバンヒザラガイケハダヒザラガイヒザラガイなどに代表される。軟体は小判形で背面が多少ふくらみ,背上に 8枚の殻が前後に重なって並び,それを小棘や鱗が密生する肉帯が囲んでいる。頭部は体の前端にあり,小さく,眼も触角もない。口には歯舌がある。足は大きく,足裏は平たい。肛門は体の後端にある。外套腔には多くの鰓がある。神経は梯子形神経系。すべて海産で,多くは沿岸の岩礫底にすむが,深海の砂泥底にすむ種もある。多くは歯舌で藻類をなめて食べるが,ババガセのような肉食種もある。古生代カンブリア紀後期に出現し,現生種は世界に約 1000種,日本に約 100種が知られている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「多板類」の意味・わかりやすい解説

多板類
たばんるい

軟体動物門の1綱で、ヒザラガイ類をいう。この多板綱Polyplacophoraの仲間の体は扁平(へんぺい)な楕円(だえん)形で、殻は八枚ある。目や触角はないが、口には歯舌をもつ。潮間帯から深海の岩などに吸着していて、運動は不活発である。無板綱Aplacophoraとあわせて双神経亜門Amphineuraを形成する。

[奥谷喬司]


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