多門(読み)タモン

デジタル大辞泉 「多門」の意味・読み・例文・類語

た‐もん【多門/多聞】

城の石垣の上に築いた長屋造りの建物兵器庫防壁を兼ねる。松永久秀が大和国佐保山に築いた多聞城形式からの名という。多聞やぐら
本宅周囲に建てた長屋。
江戸城中の御殿女中が使った下女2の所へこれらの女たちを置き、用事のあるときに「多門、多門」と呼んだところからこの名があるという。御端おはした

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精選版 日本国語大辞典 「多門」の意味・読み・例文・類語

た‐もん【多門・多聞】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 城の石垣の上に築いた長屋造りの建物。城壁のはたらきをもたせ、倉庫などに用いた。永祿一〇年(一五六七)、松永久秀が大和国(奈良県)佐保山に築いた多聞城ではじめてつくられたという。多聞櫓
    1. [初出の実例]「辰剋御蔵開き候訖。彼名香長六尺の長持に納、これあり。則多門へ持参致し」(出典:信長公記(1598)七)
  3. 本宅の周囲に建築した長屋。
    1. [初出の実例]「今世宅外の長屋を多門(タモン)と云」(出典:大和事始(1683)一)
  4. 江戸城中の御殿女中がつかった下婢。長局が狭いので、御切戸御門内、多門のところへこれらの女達を置き、用事のあるときに「多門、多門」と呼んだところからの名という。御端(おはした)
    1. [初出の実例]「張形は早松の味と多門しゃれ」(出典:雑俳・柳多留‐二八(1799))

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普及版 字通 「多門」の読み・字形・画数・意味

【多門】たもん

政令各所から出る。〔左伝、襄三十年〕子侈(おご)り、太子(いや)しく、大夫敖(おご)り、、門多くして、以て大國に介(はさ)まる。能くぶること無(な)からんや。

字通「多」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の多門の言及

【升形(桝形)】より

…升形を虎口の内側に設けるのを内升形といい,これが通常の形式で,外側に設ける外升形は数が少ない。升形に二つの門を開き,外に面した一の門を2本の角柱で妻破風造の屋根を支える高麗門(多門)形式とし,より重要で堅固に造られる内側の二の門は,渡り櫓に入母屋造の屋根を載せる櫓門形式で造られるのが通常である。そしてこの二つの門は,必ず直角に配される。…

※「多門」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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