(読み)タ

デジタル大辞泉 「多」の意味・読み・例文・類語

た【多】[漢字項目]

[音](呉)(漢) [訓]おおい
学習漢字]2年
数や量がおおい。「多寡多少多数多多多忙多様多量過多許多最多雑多繁多
[名のり]おおし・かず・な・なお・まさ・まさる
[難読]数多あまた歌留多カルタ博多はかた

さわ〔さは〕【多】

[形動ナリ]多いさま。たくさん。
「草深みこほろぎ―に鳴くやどの」〈・二二七一〉

た【多】

多いこと。また、多いもの。
勝ること。重んじること。

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精選版 日本国語大辞典 「多」の意味・読み・例文・類語

おおくおほく【多】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形容詞「おおい」の連用形から )
  2. 数量の豊富な様子。たくさん。多数。
    1. [初出の実例]「朝廷(おほやけ)よりも、おほくの物たまはす」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
  3. 全体の中で、すべてとは言えないがそれに近い部分。大部分。ほとんどの物事。
    1. [初出の実例]「陰陽師なども、おほくは女の霊とのみうらなひ申しければ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)柏木)
  4. 少数の特別な存在を除いた平均的な全体。普通。一般。
    1. [初出の実例]「さしぬきのこしぎはなども、さはいへど、おほくの人よりはけだかく」(出典:大鏡(12C前)三)

た【多】

  1. 〘 名詞 〙
  2. おおいこと。おおいもの。⇔
    1. [初出の実例]「多にあらず大にあらず」(出典:正法眼蔵(1231‐53)古鏡)
    2. 「人数の多を占むる下層社会に意を置くことをせず」(出典:日本の下層社会(1899)〈横山源之助〉三)
    3. [その他の文献]〔論語‐子罕〕
  3. まさっていること。〔礼記‐檀弓上〕
  4. ほめること。重んずること。感謝すること。→多とする

さわさは【多・沢】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 多いさま。たくさん。あまた。
    1. [初出の実例]「忍坂の 大室屋に 人佐波爾(サハニ) 来入り居り 人佐波爾(サハニ) 入り居りとも」(出典:古事記(712)中・歌謡)
    2. 「麹町の大名がしの娘が金銀さはにくれる」(出典:浮世草子・世間化物気質(1770)三)

おおけ‐くおほけ‥【多】

  1. ( 形容詞「おほし」のク語法 ) 多いこと。
    1. [初出の実例]「いちさかき 実の意富祁久(オホケク)を こきだひゑね」(出典:古事記(712)上・歌謡)

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日本歴史地名大系 「多」の解説


たね

古代南島のうち種子島屋久島を主とする地域に置かれた律令国家南端の国。史料には多島・多禰国などとみえ、多の表記もある。八世紀初頭から九世紀前期の天長元年(八二四)まで存続し、同年大隅国に併合された。馭謨ごむ益救やく熊毛くまけ能満のまの四郡があった。島として国に準じた行政区分がなされたのは、ほかに同じく西海道の壱岐島・対馬島があり、日本列島西辺・南辺の対外的・軍事的要地すなわち辺要として位置づけられていたことによる。「日本書紀」天武天皇六年(六七七)二月是月条に多禰島人などが大和飛鳥あすか(現奈良県明日香村)の西で饗されたことが記されている。この頃から朝廷と接触があったことが認められ、同八年一一月二三日、朝廷は多禰島に使者を遣わしている(同書)。同書同一〇年八月二〇日条の帰朝報告によれば、多禰島の地図が提出され、位置について「其の国の、京を去ること五千余里。筑紫の南の海中に居り」とし、産物については「粳稲常豊なり。一たび殖ゑて両たび収む。土毛は支子くちなし莞子かま及び種種の海物等多なり」と伝えている。同書翌一一年七月二五日条には多禰人・阿麻弥人・掖玖人が来朝したことが記され、「続日本紀」文武天皇三年(六九九)七月一九日条にも多夜久やく(屋久島)菴美あまみ(奄美大島か)度感とかむ(徳之島か)が並記されている。多禰(多はこの時期まで種子島をさしていたと推測される。

「続日本紀」大宝二年(七〇二)八月一日条に「薩摩多、隔化逆命、於是発兵征討、遂校戸置吏焉」との記載があり、多島が一国に準じて設置されたとみられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

普及版 字通 「多」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

[字音]
[字訓] おおい・まさる・あまる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
夕+夕。夕は肉の形。多は多肉の意。〔説文〕七上に「重ぬるなり。重夕に從ふ。夕なるは、相ひ繹(たづ)ぬるなり、故に多と爲す」と夕・繹(えき)の畳韻を以て解する。また「重夕を多と爲し、重日をと爲す」といい、多・を夕・日を重ねる意とするが、多は多肉、は玉を多く重ねる意。宜の初文は、俎上に多(肉)をおいて前に供える意。はそれに玉飾を加える形である。宜の初形は、卜文・金文においては多に従う。牲薦の肉の多いことから、のちすべて繁多・豊富の意となる。

[訓義]
1. おおい、お供えの肉が多い。
2. まさる、おおきい、すぐれる、あまる。
3. ほめる、多とする、ありがたくおもう。

[古辞書の訓]
名義抄〕多 オホシ・オホクハ・ソコバク・マサル 〔立〕多 オホシ・カサヌ・ナマメカシ・ウツ・オモシ・オホカリ・アマタ・フトシ・イクバク・マサル・ヒロシ・モロモロ

[部首]
〔説文〕になど三字、〔玉〕に別に二十五字を加えるが、すべて形声字である。(か)は〔説文〕七上に「齊にては多きを謂ひてと爲す」とし、〔玉〕には「楚人、多きを謂ふなり」とする。果とは外皮のないものであるから、とは大きな肉塊をいう語であろう。

[声系]
〔説文〕に・移・宜・侈など十八字を収める。宜を〔説文〕七下に多の省声とするが、会意の字。多声の字には、繁多の意をもつものが多い。

[語系]
多tai、朶tuaiは声近く、朶(だ)は花葉が朶朶として垂れる形。墮(隋・)duaiも声近く、大きな肉塊がとして崩れようとする意。多くのものが重なり合い、崩れようとするさまをいう語である。

[熟語]
多哇・多飲多婬・多雨多衍・多応多夥・多学・多感・多奸・多患・多艱・多岐・多忌・多技・多疑・多虞・多恵・多芸・多見・多言・多元・多故・多・多口・多行・多幸・多恨・多才・多材・多采・多歳・多財・多士・多子・多思・多嘴・多事・多時・多次・多辞・多識・多疾・多謝・多衆・多少・多情・多心・多銭・多多・多態・多大・多端・多貪・多智・多知・多難・多人・多年・多能・多半・多般・多聞・多病・多辟・多弁・多方・多忙・多望・多面・多門・多様・多欲・多力・多礼
[下接語]
殷多・過多・夥多・幾多・許多・最多・雑多・滋多・衆多・聚多・少多・饒多・数多・盛多・煩多・繁多・褒多・滅多

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