k個の文字a1,a2,……,akの和のn乗の展開には次式,
が成立し,これを多項定理といい,を多項係数と呼ぶ。ただし,Σによる和は,nを負でない整数p1,……,pnの和n=p1+p2+……+pkに分解するすべての場合にわたるものとする。k=2のとき二項定理という。多項定理の応用例を二つあげる。
例1 n=3,k=3のとき,
であるから,
(a+b+c)3=a3+b3+c3+3(a2b+a2c+b2a+b2c+c2a+c2b)+6abc
例2 (1+x+x2)6のx4の係数を求める場合には多項定理より,
であるから,
を満たすすべての負でない整数p,q,rについてのの総和が求める係数である。(2)によりq=0,2,4。それぞれの場合(r,p)=(2,4),(1,3),(0,2)ゆえ,よって求める係数は,
すなわち,x4の係数は90である。
執筆者:杉江 徹
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