夜半の寝覚め(読み)よわのねざめ

精選版 日本国語大辞典 「夜半の寝覚め」の意味・読み・例文・類語

よわ【夜半】 の 寝覚(ねざ)

  1. [ 一 ] 夜に目覚めること。
    1. [初出の実例]「人しれずこころながらやしぐるらむふけゆくあきの夜はのねざめに」(出典:相模集(1061頃か))
  2. [ 二 ]よるのねざめ(夜の寝覚)

よわのねざめよはのねざめ【夜半の寝覚】

  1. よるのねざめ(夜の寝覚)

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改訂新版 世界大百科事典 「夜半の寝覚め」の意味・わかりやすい解説

夜半の寝覚 (よわのねざめ)

平安後期の物語。現存本の題名は《寝覚》または《夜の寝覚》。作者菅原孝標女(たかすえのむすめ)と伝えるが,確かでない。現存本は5巻または3巻に分かつが,中間および巻尾(続編)に欠巻がある。ほかに鎌倉期に続編を切り捨て改作縮小したとおもわれる中村本5巻(旧蔵者中村秋香)があり,中間の欠巻部分の筋立ての大体は補われる。源氏の太政大臣の中君が関白左大臣の息の中納言と相思の関係にあって2児を生みながら,外的ないろいろな事情に妨げられ,〈夜の寝覚絶ゆるよなく〉て数奇生涯を送るという物語。《源氏物語宇治十帖影響が著しい。登場人物の心理描写は克明で,《源氏物語》以後の物語の中では抜群である。今は欠けている続編では,男女両主人公の息子まさこと女三宮の恋愛事件を中心に,中君に恋を仕掛ける冷泉院の話がからむが,結局まさこの恋愛成就,女主人公の死で終わる物語があったことが,残存資料からうかがえる。
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百科事典マイペディア 「夜半の寝覚め」の意味・わかりやすい解説

夜半の寝覚【よわのねざめ】

平安後期の長編物語。作者は菅原孝標女(たかすえのむすめ)と伝えるが確かでない。成立年次も不明。欠巻が多いが,源氏の大臣の姫君である寝覚の女君悲恋を克明な心理描写を駆使して描いた異色作で,《源氏物語》宇治十帖の影響が著しい。《源氏物語》や《狭衣物語》とともに愛読された。

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