軍事力・経済力などが強大な大国が、他国や他民族に対して支配的立場にたち、自国の立場や主張を押し付けること。16世紀から形成された国際社会は、大国による植民地支配、他民族抑圧のうえに成り立っており、大国が支配的地位についていた。したがって、大国主義は、国際関係において普遍的であった。ほとんどの植民地が独立を達成した後も、アメリカなど資本主義大国は、他国に対して支配的・抑圧的行動をとっていた。一方、民族間の平等を主張する社会主義の国、旧ソ連や中国も、他国の共産党や社会主義国などに対して大国主義的干渉を行う例がしばしばみられた。ソ連崩壊後、唯一の大国となったアメリカは、国際社会で支配的な地位にたとうとしている。このため、現在でも、大国主義が国際関係のなかで根強く残っている。これに対して、非同盟運動は、大国主義を排し、すべての国が平等の立場にたって国際問題の決定に参画する新国際秩序の樹立を目ざしている。
[土生長穂]
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