ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大セルビア主義」の意味・わかりやすい解説
大セルビア主義
だいセルビアしゅぎ
Movement for Greater Serbia
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第一次世界大戦前のバルカンにおける民族主義の総称。セルビア公国の政治家ガラシャニンIlija Garašanin(1812―1874)は、1844年にセルビア外交政策の指針として「ナチェルターニエ」Načertanijeを発表した。このなかで、「セルビアの使命は、ハプスブルク帝国とオスマン帝国に対する南スラブ人の民族解放闘争の準備をし、率先してそれを進めることだ」と説いた。この考えが大セルビア主義の基礎となる。1904年にセルビア王国の首班となったパシチは、外交方針としてセルビア人の居住する地域すべての統一を掲げ、大セルビア主義的政策を推進した。このため、ハプスブルク帝国内のセルビア人にも多大な影響を与え、セルビアとオーストリアとの対立関係を強めた。そして、両国の対立は、第一次世界大戦の直接的な原因となった。
第二次世界大戦時のチェトニク、ユーゴスラビア紛争時のミロシェビッチに対しても、その政策を説明するため「大セルビア主義」ということばが使われた。
[柴 宜弘]
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