大多和峠(読み)おおたわとうげ

日本歴史地名大系 「大多和峠」の解説

大多和峠
おおたわとうげ

上新川郡大山有峰ありみね岐阜吉城よしき神岡かみおか町大多和との県境の峠。標高一三〇七メートル。薬師やくし岳を正面に見る眺望絶佳の場所である。ブナトチナラが生茂り野鳥も多い。昭和一三年(一九三八)中河与一が「天の夕顔」の舞台として有峰を取上げたので、同三七年薬師岳を背景に与一の短歌「夜深き山のいほりに夢さめて空わたる月を消ゆるまで見し」を彫った文学碑が建立された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大多和峠」の意味・わかりやすい解説

大多和峠
おおたわとうげ

岐阜・富山両県境にある峠。標高1307メートル。高原(たかはら)川の支流、跡津(あとづ)川沿いにさかのぼると、岐阜県飛騨市(ひだし)神岡町からこの峠を越えて、富山県富山市の有峰(ありみね)湖に達する。飛騨側は急であるが、越中(えっちゅう)側は緩やかで、越中側から飛騨へ越えるのは比較的容易で、昔は越中街道裏街道になっていた。なお、富山市有峰と岐阜県飛騨市河合(かわい)町天生(あもう)を結ぶ直線状の跡津川断層は、長さ約70キロメートルに及ぶわが国有数の活断層として知られる。

[上島正徳]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例